集中できる仕事さえあれば
ADHDは最強の武器になる
先ほどの料理人もこのジャーナリストも本当に興味をそそられる対象には激しく集中できる。似たような話を他のADHDの人たちからも聞いてきた。プログラマー、自動車整備士、広告代理店勤務――1人残らず学校では苦労の連続だったが、天職を見つけてからはハイパーフォーカスを正しい方向に使えるようになった。
それまではハイパーフォーカスといえばテレビやパソコンの前でしか発揮できなかったのに、今では真剣になればギアを1段階どころか2、3段階上げられる。すると急に集中力が他の人を上回るのだ。
ここで例に挙げた人たちはADHD「なのに」成功したわけではない。ADHDの「おかげ」で成功したのだ。

では、料理人として成功した彼がオフィスワークに従事していたらどうなっていただろうか。控えめに言ってもあまりうまくいかなかっただろう。同じことが広告代理店勤務、自動車整備士、プログラマーについても言える。
彼らは正しい場所を見つけられたからこそ成功したのだ。だからADHDの傾向の強い人は全員、情熱を見つけ出す努力をするとよいと思う。
すぐ見つからなくても探し続けるのだ。それでも見つからなければ……もっと探す。遅かれ早かれ見つかるし、ギブアップしなかったという事実も自分を変える――というのはアップルの創業者スティーブ・ジョブズの言葉だ。
私が患者を診てきた個人的な所感では、驚くほど多くの人がクリエイティブな分野でハイパーフォーカスできる対象を見つけている。