「ちょっと遊んでみようか?」感覚で大化けするか?

 フォルクスワーゲンジャパン関係者によれば、ID.Buzzの販売は「かなり好調」。

 今回の一般向け展示の前に、すでにまとまった数のオーダーが入っているという。

 現時点で顧客属性は整理されていないが、有り体に言えば「たまには(クルマ選びで)遊んでみようか?」という層が、ID.Buzzに関心を持っているのだと、筆者は捉えている。

 具体的には、一部では「アルヴェル」と呼ばれることもある、トヨタ「アルファード」と「ヴェルファイア」に満足している個人ユーザーの中で「そろそろ、ほかの人と変わったことがしたい」という発想がある人だ。

 大型SUVのユーザー層の中で、定番のメルセデス「Gクラス」からの乗り換えでも「そろそろ、他の人と違う…」といった発想で、アストンマーチン「DBX」などを検討する中で「だったら、たまにはフォルクスワーゲンもありかも?」という遊び心が芽生えるかもしれない。

 むろん、富裕層であれば、複数所有のうちの1台として「当分の間、手元に置いておこう」という発想もアリだろう。

 または、現在の所有車がなんであれ「ウチでもそのうちEVを買おうか」と漠然と考えていた人が、思い切って選ぶことも想定できる。

 さらに言えば、近年のキャンピングカーブームの中、トヨタ「ハイエース」をベースとした「バンコン(バンコンバージョン。ミニバンなどを、キャンピングカー仕様に改造した車両)」のユーザーで、さらに上級志向のフィアット「デュカト」ベース車にステップアップするよりは「ちょっと視点を変えて…」という人もいるはずだ。実際、ハイエースをType2のようなレトロな外観にカスタムする業者が複数存在する。

 つまり、ID.Buzzの購入層は間口がとても広いと言える。

 最後に、フォルクスワーゲンジャパンが6月20日に公開したプレスリリースを紹介する。 タイトルは、フォルクスワーゲンID.Buzz発表。サブタイトルは、伝説のType2の特徴を継承した「現代版ワーゲンバス」がついに日本市場にデビュー、である。

 はたして、ID.Buzzはこれからどこまで販売を伸ばし、それがフォルクスワーゲンブランド全体に持続的な成長効果を生むのか。今後の動向を見守りたい。

「ID.Buzz」のリアビュー「ID.Buzz」のリアビュー Photo by K.M.