社会的な「成功レール」の崩壊、どんどん不確実になる未来、SNSにあふれる他人の「キラキラ」…。そんな中で、自分の「やりたいこと」がわからず戸惑う人が、世代を問わず増えています。本連載は、『「やりたいこと」はなくてもいい。』(ダイヤモンド社刊)の著者・しずかみちこさんが、やりたいことを無理に探さなくても、日々が充実し、迷いがなくなり、自分らしい「道」が自然に見えてくる方法を、本書から編集・抜粋して紹介します。

「目標」を持つことのメリット
本書は、「目標」を持たないほうが人生が充実するタイプの人もいること、そのタイプの人は、どのようにしたら、毎日を有意義に過ごし、人生を充実させていくことができるのかを書いた本です。
とはいえ、当たり前ですが「目標を持つこと」にはメリットも、もちろんあります。
物事には、必ずメリットとデメリットがあるのです。まずは目標を持つことのメリットとデメリットをフラットに考えてみましょう。
今回はメリットを挙げてみます。
メリット1│「今やるべきこと」に迷わない
目標があるとそのために今何をすべきかがわかりやすくなります。
例えば、「起業したい」という目標があるなら「3年後に起業する」という具体的な期日を設定し、それまでに資金を貯めたり、必要なスキルを学んだり、といった行動に落とし込みやすくなります。
日々の生活の中で、「これとあれのどちらをやるべきか」と考えるときも、明確な目標があれば、その目標に近づくための行動を選択すればいいので迷いません。
優先順位を決めることで、限られた時間やリソースを効率的に使えます。「今、これをやっておけば、将来につながる」という確信を持って行動できるのです。
メリット2│成長が「見える化」しやすい
目標があると、その実現に向かって努力する過程で、自分がどれだけ成長したかがわかりやすくなります。
例えば、「マラソンで完走する」という目標を立てるとします。最初は5キロを走るのが精一杯でも、練習を重ねて10キロ、20キロと走れるようになると、自分の成長を客観的に測ることができ、それがさらなる成長への動機づけになります。
メリット3│達成感が自信を生み出す
目標を実現できたときの喜びは格別です。小さなことであっても、それを達成することで「自分にはできる」という自信につながります。
「新しい資格を取得する」という目標を持った人は、勉強を始めた当初は難しさに気が遠くなったとしても、少しずつ知識を積み重ね、模擬試験でスコアが上がっていくのを見るとモチベーションが上がるでしょう。そして、最終的に資格を取得したときの達成感は何物にも代えがたいものでしょう。
このような経験を重ねることで、「やればできる」という思いが高まり、自分の力を信じられるようになります。
メリット4│関連する情報が自然と集まってくる
やりたいことがあると、それに関連する情報に敏感になります。本、ニュース、人との会話など、あらゆるところから目標達成に役立つ情報が入りやすくなります。
例えば、「起業する」という目標を意識していれば、積極的に起業に関するビジネス書を読んだり、動画を見たりするでしょう。それにより、起業に必要な知識が深まり、自分が何をすべきかがわかるようになります。その過程で、具体的なチャンスに恵まれる確率も高まり、目標達成への道筋が見えやすくなります。
メリット5│努力する姿が共感を呼ぶ
目標に向かって真摯に努力する姿は、多くの人の共感を呼びます。そのため、応援してくれる人や協力者が現れやすくなります。
例えば、「海外で働く」という目標を持つ人が毎日コツコツと勉強を続け、休日も海外の人たちと関わる活動をしていたら、周りの友人や同僚に本気でやりたい気持ちが伝わるでしょう。その結果、一緒に勉強する仲間が増えたり、海外経験のある人が貴重なアドバイスをくれたりするかもしれません。さらには、会社で海外プロジェクトの機会が訪れたときに、上司が推薦してくれるかもしれません。
これらの「目標を持つことのメリット」については、多くのビジネス書でも何度も言われていることなので、既にご存じの方も多いことでしょう。
しかし、「目標」を持つことのデメリットについて書いたものは、あまり多くありません。
次回は「デメリット」についても考察してみましょう。
*本記事は、しずかみちこ著『「やりたいこと」はなくてもいい。 目標がなくても人生に迷わなくなる4つのステップ』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。