その株主提案では、「日産の業績は壊滅的な状況にあり、25年3月期は国内完成車メーカー9社中、日産と日野自動車のみが最終赤字でその結果、日産の時価総額はスズキとスバル、いすゞ自動車にも抜かれて9社中6番目にまで落ちた。また、PBRは0.20倍と極端に低く、9社中最下位。この事実だけでも日産の経営陣のパフォーマンスは株主にとって容認できないことは明らか」と厳しく指摘。内田氏をCEOに選任した際の指名委員会委員のうち、元々再任されない仏ルノーのスナール会長を除く3人に対し、その責任を求めた。
これに対し日産は、3人が「当社の成長に寄与してきた実績があり、今後も彼らのリーダーシップが必要である」として、株主提案に反対を表明した。
業績悪化に対する株主の意見としては当然の内容だが、日産はあくまで3人の再任という“現状維持”を選択した。その姿勢は株主の目にどう映るだろうか。
また、株主の質問で上がったのが「巨額報酬」に対する不満だ。3月末をもって退任した内田氏、坂本秀行前副社長、星野朝子前副社長、中畔邦雄前副社長ら4人へ計6億4600万円もの「退任に伴う報酬」が支払われたことが招集通知に記載されており、「報酬委員会」への疑問の声が上がった。
赤字転落の“戦犯”である前経営陣への高額報酬は誰が聞いてもおかしいし、当事者は返上するのが当然と考えるのが世論だ。
だが、報酬委員長の井原慶子氏の説明は木で鼻をくくったような説明に終始した。役員報酬に関してはここ数年、毎年のように株主から不満の声が上がっていたが、今回も株主が納得する回答はなかった。
大荒れで長丁場となった株主総会だが、2年前の23年6月の株主総会でも、今回のような事態に至る“兆候”が見えていた。