セロトニン神経のいくつかの働きの中に、「痛みを抑える」ことがあります。そこで、ガムを5分以上20分間かむとセロトニン神経が元気になり、鎮痛効果があるのではないかという仮説を立てて、実験に励みました。

「咀嚼のリズム運動をすると、痛みが取れちゃう」ということを科学的に証明したこの論文は、世界的に有名な『ペイン(PAIN)』という国際雑誌におかげさまで掲載されました。

 この論文の反響は大きく、教科書に載ったり(睡眠学)、海外からも問い合わせがあったりしたと有田先生からお聞きしました。

「咀嚼というリズム運動は消化機能だけじゃなくて、脳に効くんですよ。脳に効くと何が起こるかっていうと、頭スッキリ、気分もポジティブになるし、自律神経が整うし、痛みも取れちゃうし。見た目も元気になる。そういう研究をちゃんとサイエンスとして成り立たせたんです」

 このように、セロトニン神経のさまざまな働きは、有田先生と研究室のセロトニンチームが時間をかけて積み上げてきた研究によって証明されています。

いいことづくめの
セロトニン神経の働き

 セロトニンの第一人者である有田先生が長年されてきた研究の成果を、ひとつの生活リズムとして実践すると、現代社会で弱まりがちなセロトニン神経を元気にすることができます。

 セロトニン神経の働きを挙げると、

1 ストレス耐性ができ、キレにくくなる
2 姿勢がよくなる・顔のしまりがよくなる
3 集中力アップ
4 覚醒してシャキッ!
5 「夜なかなか寝ない」がなくなる
6 痛みに強くなる

 このように、いいことづくめです。

 そして、セロトニン神経を活発にするものは、太陽の光とリズム運動なので、これを1日の中にうまく取り込んでいきましょう。

 リズム運動では、始めて5分でセロトニン神経が元気になってきて、20~30分でピークになることがわかりました。そして、その効果は2時間続きます。

 となると、リズム運動でブーストして効果の時間が過ぎたら、またブーストして、と繰り返せばいいのです。

 それでは、さっそく「セロトニン生活」を始めますね!