サッポロもセブン&アイも
アクティビストに突き動かされた
違う会社の例にも触れたい。サッポロビールやポッカなどを傘下に持つサッポロホールディングスの株主総会だ。同社の筆頭株主である3Dインベストメント・パートナーズは、シンガポールを拠点とするアクティビストとして知られる。
3Dは以前から、サッポロは不動産事業から得られる高い収益があるがゆえに、本業の低収益に甘んじている、加えて不動産事業も改善の見込みがあると痛烈に批判してきた。そして今年の株主総会では、3Dが推薦する人物を取締役に選任するよう強く求めていた。
株主総会でサッポロ側は、「推薦人物が3Dとの関わりが強く独立性に問題がある」という理由を付けて、大反対した。株主提案は否決されるに至った。
しかしこの件も、単純に株主提案が敗北したとは言い切れないと思う。なぜならサッポロは24年9月、「サッポロ不動産開発への外部資本導入、物件売却や株主様からご提案いただいております税制適格スピンオフなど、考えられる選択肢を広く比較検討しています」「本検討の精度をより高めるために、幅広い戦略パートナー候補から、不動産事業への外部資本導入に関する提案等をお受けするプロセスを開始しました」などと発表し、不動産事業の改革に着手した。株主の声を受け、事業を見直しているのは間違いない。
セブン&アイ・ホールディングスも、同様だ。2023年の株主総会で、米ファンドのバリューアクト・キャピタルが、コンビニ事業の分離や祖業イトーヨーカ堂の切り離しなどのグループ再編を求めた。
会社側は徹底抗戦の構えで、最終的に株主提案は株主総会で否決された。しかし結局、イトーヨーカ堂などを含むスーパー事業を分社化し、外部資本を導入して再建することを決断。主力のコンビニ事業へ経営資源を集中する方針へ大きく舵を切ったのだった。