外国人による犯罪率は
どれくらい上がっているか?
日本を訪れる外国人は日本が好きだから来ているはずなので、こちらも基本的に“ウェルカム”したいのだが、何しろ観光客や移民がすごいペースで増えているので、受け入れ態勢(仕組みおよび心の準備)がまだ充分に整っておらず、あちこちでひずみが起きやすい状況である。それで、治安や美観をおびやかしたり、マナー違反をする外国人の様子が伝えられることがある。
外国人が増えて治安を悪くし、犯罪を増やしているように思われる日本だが、では実際に「外国人による犯罪率はどれくらい上がっているのか」とデータをひも解いてみると、予想とはやや異なった数字を目にすることになるはずである。
まず、訪日外国人の2024年の検挙件数は前年比20.5%、総検挙人員は1万2170人前年比+5.5%で、約20年の間概ね減少傾向であったものが2023年から増加傾向に入った。
また、2023年、検挙された総人数の中で外国人の割合は全体に対して5.3%(外国人全体)で、来日外国人(観光客など)だけだとで3.1%である。日本の全人口に対して在留外国人は2.4%なので、割合から見て日本人の検挙人数より外国人の検挙人数の方が著しく多いとは言えない。
参考)警察庁 令和5年の刑法犯に関する統計資料
外国人人口は1990年代から2023年で130万人→370万人にまで増えたにもかかわらず、外国人の検挙人員数は1000人→9726人と減少した。母数が3倍近く増えたにもかかわらず外国人の検挙人員数は減っていたのである。これを受けて「外国人の犯罪は減少傾向」と見る専門家もいる。
人数の増減のトレンドが2023年を境目に入れ替わる(減少→増加へ)可能性はあるが、いずれにせよ昨今ニュースやSNSから受ける印象ほど外国人がものすごいペースで犯罪を犯しているわけではない。
特に外国人問題関連のトピックはSNSでは印象が先走って、事実と違う「ご意見」が注目を集めることがあるので、誤報には要注意である。