目立つのは組織的犯罪によるケース
警察庁の「万引き対策」とは?

 治安の問題は別にしても、「日本が外国に食い物にされている」と感じられる例はいくつもある。最近、問題視されている主なところでは、冒頭に紹介したユニクロなどの衣料品店や、ドラッグストアの甚大な盗難被害がそうだ。

 組織的犯罪だと思われるケースが目立ち、万引きする外国人は自国での数カ月分の生活費と引き換えに雇われているのだという。盗品を売買する組織が存在するのだろう。

 また、中国人観光客による外免切替制度の濫用、あとは世界的な問題になっているドラッグ・フェンタニルの製造拠点の中国組織が名古屋市にあったと疑われている件などであろうか。

 一般人がちょっと気をつけたり努力しようともどうにもならなさそうな領域の問題たちであり、国になんとかしてほしいところだったが、やっと国会で話題にのぼったりし始めているようである。

 それくらいのスピード感なので、今この時点でおのれの領域でなんとか立ち向かおうとする企業や自治体には称賛が集まる。

「万引き損害賠償」のユニクロがそうだし、任天堂も先のニンテンドースイッチ2の発売に際して、転売ヤーやインバウンド客から日本ユーザーを守るためにいくつかのルールや国内版価格を発表して注目を集めた。

 国でいうと警察庁はすでに動いていて、ドラッグストアに「高額商品は空き箱で陳列」や「外国語による店内放送で注意を呼びかけ」などの万引き対策をするよう呼びかけた。

 訪日外国人へのマナー啓発は、各観光地で行われている。

 京都市ではチラシや動画を作成して観光客に丁寧に理解を求めるスタイルで、岐阜県高山市では該当巡回と観光客への声掛けで直接対話を、台東区では観光事業者用に使えるマナー啓発グッズを開発・配布し現場の負担軽減を図った。

 大阪の戎橋筋商店街振興組合では「なんば旅先クイズ会」と称してマナー啓発の体験型イベントが開催された。こうして見るとやりようもさまざまで、地域の特色も反映されているようで面白い。