近年の超円安傾向が
金価格に及ぼす影響
下図は、金価格のドル建てと円建ての値動きを表したチャート。ドル建ては1トロイオンス(toz=約31.1グラム)当たり、円建ては1グラム当たりの販売価格(税込み)です。これを見ると、2022年3月あたりから、円建て、ドル建ての値動きが離れていることがわかるでしょう。

拡大画像表示
ここまで大きな差が出ている理由は、「円安」です。
ニュースなどで報じられる「金が1グラム○○円」という数字は、すべて「円建て」のものです。そして、円建ての場合、当然ですがドル/円相場が大きく影響します。
ドル/円相場は、2022年3月頃から急速に円安が進みました。ここ1~2年の物価高が円安によるものと理解している人は多いと思いますが、金価格についても同様です。世界での金取引はドル建てで行われているため、円安が進めば、「円建ての金価格」は上昇します。

拡大画像表示
戦争やその他の「不穏なこと」が起きる(あるいは起こりそうになる)と金価格が急上昇する局面はありますが、本来、金価格はあまり値動きが大きいものではありません。それは、先出の「金現物のドル建て・円建ての値動き比較チャート」の「海外価格」の値動きを見ても、おわかりいただけるでしょう。
ところが、そこに「ドル/円相場の変動」が加わると、「円建て」の金価格が大きく変動することがあります。つまり、「円建ての金価格」の値動きは、金そのものの価格の変動を表しているわけではないということ。金価格の本当の推移は、ドル建てでチェックすることになります。