食費、家賃、ガソリン代の
価格を比較してみよう
まずは、本当に地方は安いのかどうか、物価を比較してみましょう。
近年の暑さで、夏も価格が高くなっている夏野菜。これが安ければ、たくさん食べられるようになり健康にもいいでしょう。
総務省家計調査(2024)の2人以上の世帯の1カ月の食費の支出総額を見ると、もっとも安い沖縄地方では月7万2735円、四国地方では月7万3667円です。一方、東京都市部では10万円を超えています。月2万7000円前後の差がありますから、これは大きいです。
生鮮野菜はというと、最も安い四国地方では月5121円、東京都市部では月7587円です。地方ではピーマンやキュウリなどの野菜はかなり大きくてお得感がありますが、月に2000円前後の差でしかありません。
次に家賃はどうでしょうか。
相場では東京都で一人暮らし用だと平均家賃は約6万9000円、ファミリータイプは約9万2000円です。
もっとも安い鳥取県では、一人暮らし用が約3万8000円、ファミリータイプは約5万8000円で、ほぼ半額です。
敷金、礼金は都市部では2カ月の場合もありますが、地方では1カ月だけのところもありますので、月3万~4万円安くなる計算になります。
では、ガソリン代はどうでしょうか。
自民党の森山裕幹事長が意向を示したように、暫定税率廃止が実現されるとガソリン代は1リットルあたり約25円安くなります。ただし、イラン・イスラエルやロシアのウクライナ侵攻など海外情勢が落ち着くとは限らず、本当にこの値段で維持できるかは不透明です。
同家計調査では、ガソリン代は東京都市部の2人以上の世帯で年2万1000円あまりですが、三重県津市では、年約10万5000円と5倍近くもします。全国平均でも年7万円ほどで、東京都市部に比べて5万円以上支出が増えます。いかに都心で車を使わないのかがわかります。
地方の生活では、バスや電車の便が悪いこともあり、スーパーなどへ買い物に行くにも車で20分ほど移動するケースも。そうなると、ガソリン代は毎回500円ほどかかります。東京近郊にいても、都心の知人に会いに行くだけで毎回3000~4000円かかったりします。
筆者の知人の中には、病院に通院するガソリン代だけで月2万円、年間で24万円もかかったという人がいます。
地方暮らしは家賃や生活費が安くても、ガソリン代が高いので、かえって支出が増えることもあると覚悟しておきましょう。
家賃、生活費は3分の2に抑えてガソリン代や交通費にまわすことが、地方暮らしにおいて生活費を防衛するための鉄則になります。