
終身雇用が前提だった時代から一変、昨今は大企業でも積極的に中途採用を進めたり、さまざまな雇用形態の人とチームを組んだりと、職場の多様性・流動性は高まっている。マネジメントの難度が増す中、チームを率いるマネジャーに求められるマインドセット、そして「手放すべきこと」とは?(mento代表取締役、ビジネスコーチ 木村憲仁)
「多様性の高い組織は良い」
とされるが、現実は……
従来は新卒一括採用が中心だった日本企業ですが、ここ数年で中途採用の比率が全体の3~4割にまで増えました。業界によっては、新卒よりも中途入社の社員の方が多いという企業も少なくありません。
また、働き方においても、出社・リモート・ハイブリッド勤務、副業・兼業、男女問わず子育てと両立した働き方など、1つの組織にさまざまな働き方をしている人が集まることが当たり前になっています。さらに、役職定年後に再雇用されたメンバーがいるなど、年齢の幅も広がっています。
チームの中に年齢も働き方も価値観も違う人たちが混ざることで、表面的には「多様性が高い組織」と評価されることも多いでしょう。しかし、実際の現場では「誰にどこまで任せていいのか」「どのように関わればいいのか」「それぞれの価値観にどう合わせればいいのか」——コミュニケーションの難度が格段に上がっていることは事実です。
例えば、副業メンバーや時短メンバーに対してマネジャーが「無理をさせたくない」と変に遠慮をしてしまい、無意識のうちにフルタイムで働ける他のメンバーに仕事を集中させてしまうというのはありがちです。
マネジャーとしては配慮のつもりでも、メンバー側は「重要な仕事を任されない」「簡単な仕事しかできないと思われている」と感じてしまい、エンゲージメント低下という悪循環を生んでしまうこともあります。
多様なメンバーをいかにチームに巻き込むかは、マネジャーの重要ミッションになっているのです。