A先輩の言う「ハッピーさ」を
具体的にすると?

 修正後の具体像を頭の中でイメージできているA先輩は、擬音による抽象的な説明だけでも、相手にわかってもらえると思っているようです。しかし、Bさんにしてみれば、A先輩のあいまいな説明だけでは、課長がどんな指示を出したのかがわかりません。そうではなく、Bさんには次のような具体的な指示が必要でした。

「1枚目のスライドの上部に、この製品のメリットが3行で書いてあるんだけど、今は機能的な優位点を述べてあるだけなんだ。これだと、この製品を使う利点を読み手がイメージしにくいから、『この製品を使った利用者がどんなメリットを感じることができるか』という観点で、簡潔に言い換えてもらえるかな?」
「たとえば、『~するために~という機能がある』ではなく、『~という機能を活用すると、利用者には~という効果がある』という言い換え方でもOKだし、他の表現でもいいよ」

 このように、直すべき箇所、修正方法を具体的に挙げることで、A先輩が暗黙の了解としていた事実や意図がBさんにも伝わります。「言った、言わない」といったコミュニケーショントラブルも、A先輩とBさんの間にあったような認識相違から生まれます。