こういう会社には、根拠が曖昧な実力主義がはびこる。時折「抜擢人事」などが行われるが、その「抜擢」の理由が見えない。人事制度などのシステムが社員の意識に浸透していない中での「抜擢」は、社内では社長らの恣意・主観の人事にしか映らない。
③事業戦略と人事戦略が一致していないから、
景気が悪くなるとすぐに余剰 人員が溢れ返る。
多くの日本企業が抱え込む構造的な問題。経営陣はできるだけ、事業戦略と人事戦略が一致するように仕向けないといけない。その姿勢がないままリストラをするから、本質的な問題が残り続ける。これは、1970年代の石油危機の頃から今に至るまで、企業に重くのしかかる課題とも言える。安易なリストラがはびこることになる。
④本人に「自分は適性がない」と
思い込ませること
リストラ面談の大きなポイント。人から「辞めろ」と言われると、多くの人は反発する。そのため面談では、自らが「自分はここに残っても前途がない」と思わせるように仕向ける。
このような面談に呼ばれたら、その適性を繰り返し確認したい。自分はどのような適性がなぜ足りないのか、他の社員と比べるとどのような状態なのか、などは再三尋ねてみたい。会社の言い分の矛盾も見えてくるだろう。
⑤こういう言葉は、
本人に伝わると思った。
会社は、狙った社員の同期生や同世代の社員、数歳年上の先輩社員らを上手く使い、辞めるように仕向けようとする。これも、中堅・大企業のリストラの常套手段。エスカレートすると、連載第4回で紹介したように、親を使う場合もある。
⑥それとなく口にし始める
「自分は向いていないかもしれない」などと口走れば、会社の側はそこを突破口にして辞めるための話し合いを深めようとする。安易に口走るべき言葉ではない。