踏みにじられた人々の
崩壊と再生
2人の会話の中から、筆者が本文中にマークした個所について補足したい。こうしたリストラの「生き証人」が語る会社の手の内を心得ておくと、社員は今後リストラやパワハラなどの場面にぶつかった際に、落ち着いて対処することができるのではないだろうか。
今いる会社を「危険だ」と思っている人は、どのような道を選ぶかは人それぞれだろうが、自分にとって有利になる方策を考えるに越したことはない。それがゆくゆく「心の再生」につながることを願いたい。
①人材育成の計画もなく、
事業の先を見通しているわけでもなく、
社員数300人以下の中小企業や、創立10年以内のベンチャー企業(特に売上高30億円以下の企業)に目立つ。社長やその側近らが、動物的な勘で採用を進める傾向がある。それが功を奏することも少なからずあるため、社員数が500~600人レベルに達しても、人事部への権限移譲が進まず、社長と数人の役員だけで採用を進めていくケースもある。
こういう会社を観察していると、得てして無計画で無節操なリストラすることが多い。しかも、形を変えて同じようなリストラを繰り返す。そこに、自浄作用が働いていない。
②人事部は実質的には、機能していない。
人事部に問題があるというよりは、社長や役員などに非がある。一定の規模に達しながらも、権限を委譲しない。人事部には給与明細などの事務的な仕事しか与えない。人事部というよりは、実態は総務・庶務部に近い。