障害者権利条約から、今回の生活保護法改正案と関係しそうな箇所を見てみよう。生活の保障についてはどうだろうか?

第28条 適切〔十分〕な生活水準及び社会保護
 
1 締約国は、自己及びその家族の適切〔十分〕な生活水準(適切〔十分〕な食料、衣類及び住居を含む。)についての並びに生活条件の不断の改善についての障害のある人の権利を認めるものとし、この権利を障害に基づく差別なしに実現することを保障し及び促進するための適切な措置をとる。
 
2 締約国は、社会保護についての障害のある人の権利及びこの権利を障害に基づく差別なしに享有することについての障害のある人の権利を認めるものとし、この権利の実現を保障し及び促進するための適切な措置をとる。これには、次の措置を含む。(後略)

 障害者の生活保障が生活保護であってよいのかどうかについては、長年、議論の多いところである。しかし、教育を受けることも就労も困難な日本の障害者は、生活保護以外に利用できる制度がない場合も多い。

 今回の生活保護法改正案では、3親等内の親族までの扶養義務が強化されている。障害者権利条約は、障害者の自立生活について、どのように規定しているだろうか?

第19条 自立した生活〔生活の自律〕及び地域社会へのインクルージョン
 
 この条約の締約国は、障害のあるすべての人に対し、他の者と平等の選択の自由をもって地域社会で生活する平等の権利を認める。締約国は、障害のある人によるこの権利の完全な享有並びに地域社会への障害のある人の完全なインクルージョン及び参加を容易にするための効果的かつ適切な措置をとるものとし、特に次のことを確保する。
 
(a) 障害のある人が、他の者との平等を基礎として、居住地及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有すること、並びに特定の生活様式で生活するよう義務づけられないこと。
(b) 障害のある人が、地域社会における生活及びインクルージョンを支援するために並びに地域社会からの孤立及び隔離を防止するために必要な在宅サービス、居住サービスその他の地域社会支援サービス(パーソナル・アシスタンスを含む。)にアクセスすること。
(後略)

 現在のところ、日本の障害者に「居住地及び誰と生活するかを選択する機会」「特定の生活様式(筆者注:施設入所や社会的入院など)で生活するよう義務づけられない」を保障しているのは、生活保護制度である。障害基礎年金は生活保護基準よりも低いため、基礎年金の場合には「障害年金で生活する」は不可能だ。

 また、障害者が親族に扶養されるということは、「地域社会からの孤立および隔離」そのものである。このことは、本連載政策ウォッチ編・第33回および第38回で紹介したとおりだ。