12月9日に発表された2013年7-9月期のGDP(国内総生産)速報(2次速報値)では、実質GDPの対前期比増加率(季節調整済み)が、0.5%から0.3%へとかなり大きく下方修正された(年率換算値では、1.9%から1.1%に)。この大きな原因は、1次推計で0.2%とされていた民間企業設備の前期比が、0.0%に下方改定されたことだ。日本経済に「好循環」は生じていないことが、はっきりと示された。

 こうしたこととなる背景は、法人企業統計を分析すれば明らかになる。7-9月期の法人企業統計は、現在の日本経済の状況をきわめて的確に伝えている。ほとんどすべての指標が、対前期比では悪化しているのである。設備投資はもちろん、利益でさえ、季節調整済み対前期比で見ればマイナスの伸びだ。金融緩和政策の効果は、まったく見られない。以下では、この状況を詳しく見ることとしよう。

伸びない売上高

 売上高は、企業活動を示すもっとも基本的な変数だ。経済の好循環は、売上げが伸びなければ生じない。

 7-9月期の対前年比を見ると、全産業が0.8%、製造業が0.3%、非製造業が1.1%となっている。前期までのマイナスの伸びからは脱したが、依然低い伸び率だ。製造業はこれまでのマイナスの伸びを脱したが、0.5%にも届かない。

 対前年比より重要なのは、今年になってからの絶対額である。なぜなら、仮に金融緩和策の影響があるとすれば、ここに表れるはずだからだ。しかし、7-9月期の数字を見ると、製造業も非製造業も、異次元金融緩和導入前の1-3月期に比べて減少している。好調と思われている輸送用機械も、1-3月期より減少だ。