留学の価値を企業からも発信してほしい

斎藤 今は、インターネットを使えばいくらでも英語の勉強できますよね。

河合 できます。学生にもTEDを見たり、「edX」などの講義を見るように言っています。はっきり言って、「聞けない、話せない」理由はないですよね。

斎藤 ないですね。

河合 グローバル化と言われていますが、留学すると卒業が遅れてしまう、就職も遅れてしまうという理由で、3年生のときに行かない人が多いんです。留学することが、たとえば、就職に有利で、経済的なリターンがあるということを、企業のほうから発信していただければと思っています。

斎藤 そうですね。たとえば、アメリカのボストンで日本人留学生向けの大きなフォーラムが開催されていますが、当社もそれに参加しています。次の4月には、5人くらいがそこから入社する予定です。また、日本人学生の留学先も最近はアジアが増えているので、アジアで開催されている同じようなフォーラムにも参加しています。もちろん、日本国内でも同様のフォーラムに参加しているため、就活シーズンはここからここまで、乗り遅れたら終了、ということはなくなりましたね。

河合 彼ら、彼女らが、留学を終えて日本の大学に帰ってきますよね。その場合、日本の大学で夏にインタビューを行うこともできるわけですね。

斎藤 やっています。留学生に対しては、機会を極力大きく設けて、実際に採用もしています。海外に留学している日本人学生を見ると、日本の大学で物足りなさを感じて、目的意識を持って学んでいる学生は優秀ですね。語学力はもちろんですが、行動力、バイタリティーなども含めて。将来、国内外を問わずグローバルリーダーとして活躍してくれると思います。

河合 向こうでは大学で真剣に勉強させられますからね。私も、ハーバード大学の学生だったときは、平日は図書館で夜の12時まで勉強する生活が続いていました。昨年日本に戻ってきて、学生の勉強する時間が少ないことには本当に驚きましたよ。日本の学生がアルバイトをする時間が、海外では勉強に当てられています。

斎藤 野球に例えると、日本のプロ球団を経ずにいきなりアメリカのメジャーリーグ球団に進むように、日本の高校を卒業してから直接アメリカの大学へ進むような学生が増えてきているようですね。

河合 最近では、その動きがありますよね。一般の高校生が、1つの選択として、日本の大学か世界の一流大学かと考えるようになってきているようです。

斎藤 ええ、そう仕向けている高校も出てきているようです。

河合 そうですよね。有名なところでは私立の武蔵中学校・高等学校の英語圏大学向けのプログラムなどがあります。

斎藤 日本の大学もがんばらないといけないと思います。いま、東京大学が世界大学ランキングで23位になりましたが、ノーベル賞クラスの優秀な人材を魅きつけるためには、やはりベスト10には入らないといけない。だからこそ、これから、ベスト20、10を狙っていくというプロセス自体は大変大事だと思いますね。

 それは粛々と進めながらも、一方では、オンリーワンとして、東京大学や京都大学は「この分野では世界ナンバーワンですよ」というものがいくつもあると思います。それをより強く発信する必要もあるでしょう。その分野のベスト&ブライテストパーソンを招くためのPRを同時並行的に実施したらどうかなと思いますね。