ーーパーティー会場は、出店地の通りを挟んで向かいにある、かの有名なラトリエ・ドゥ・ジョエル・ロブション・エトワールでした。
撮影:Charly Hel
大変異例なことのようですが、ロブション氏本人も参加してくれました。ロブション氏は以前から獺祭のことをよくご存じで、パリの日本酒事情を取材に来た日本人記者に「獺祭を取材してみては」と薦めてくれたことがあったほどです。
つくづく、パリは日本における博多と似ているなぁ、と思います。どちらも、異文化を一気に吸収し、それを自分たちのものにして世界に発信する懐の深さがあります。博多は、熊本のモツ鍋や、下関の辛子明太子など、異文化を取り込んで自分のものにしていますよね。同じように日本酒も、パリから発信してもらえれば、本当に嬉しいことです。
ーー単価はかなり高めの高級レストランになるのでしょうか。
そうですね、おそらく懐石コースでおひとり250〜300ユーロ程度になるのではないでしょうか。ただ、バーとレストランがありまして、レストランは4〜5人かけられるテーブルがふたつほどの小振りなスペースです。
私たちは飲食事業について、一義的な成功を目的とはしていません。なぜなら、獺祭を扱って下さる店と完全に競合するような店をやって、仮にお客様を取ってしまうような事態になると、本末転倒だからです。京橋に出したバーも、同じ趣向の店がないから挑戦しようと決めたし、パリでも高いレベルの和食と獺祭を出せる店がほとんどないからこそ、みずから手がける意味があると考えています。
ともかく、パリで「完全なる日本」を見せられる、そんな手応えを得たパーティーでした。
売り上げは後からついてくるものですが、海外でも本当に美味しい日本酒を広く知っていただいて、そう遠くない将来に、全売り上げの半分を海外であげられるぐらいになりたいと考えています。このパリ出店は、その一里塚です。