PRや宣伝で注視する点は、新規の顧客を取り込んで、リピーターに変えることと、そのリピーターの口コミを最大化すること。どんなに優れたアイデアでも伝わらなくては意味がない。そのために、必要なことは子どもたちが教えてくれた。「広める・伝える」という行為もまた、技術で解決できる。
本連載の1回目は、「なぜ、アイデアは技術で生み出せるのか?」を中心に解説した。2回目以降は、『アイデアにセンスはいらない』の著者・梶淳氏をお招きし、アイデアを育てる課程から世の中へ送り届けるまでを「思いつく」「組み立てる」「確かめる」「診断する」「継続する」の順に、インタビュー記事で構成する。
伝わらないアイデアはもったいない
「伝える」もテクニックで対応できる
――商品・サービスとして、世の中へ発信する段階で、心掛けることは何でしょうか?
ビジネスでは、商品やサービスを伝える相手が受け取ってくれて、初めて成功といえます。アイデアは伝わらなくては意味がありません。
では、「どうしたら、相手に届くのか?」。ここを見失っては、いいアイデアも採用されず、日の目を見ることがありません。
「なぜ私の企画が通らないか?」のもう一つの解になります。
――見込み客に「広める・伝える」ためには、どうすればよいのでしょうか?
私は、子どもをターゲットとした番組やコンテンツビジネスを長く扱ってきましたが、伝えやすさの重要性をひしひしと感じました。子ども相手に何かを伝える、というのは非常に難しいです。特に、興味が次々と移っていく子どもにアイデアを伝えることは大変です。また、この子どもに伝える技術は、大人の商品・サービスにも通じます。
伝える技術には、ポイントが2つあります。
ひとつ目は、「難しいアイデアをいかにわかりやすく伝えるか?」です。最初から単純でわかりやすくと言われがちですが、反面、すぐに飽きられる可能性があります。そこに、発見の喜びがないんですね。
ふたつ目は、「お客さんの想像する余白を残す」ことです。丁寧に、一から十まで説明してしまうと、情報として処理されてしまいます。のど越しがよすぎるアイデアは、かえって後味が残らない、とも言えるでしょう。考える余白を生むと、お客さんの気持ちが動き、お客さんにとってのひっかかりになります。