リピーター獲得に向けて

――リピーターを獲得するにはどうすればよいでしょうか?

 不特定多数を考える前に、まずは1人のお客さんの好みを見抜くことが大切です。商品やサービスを使ってもらうにあたり、最初は、相手と同じ目線に立って発想してみることから始めます。

 子どもをお客さんとして考えると、相手の身長が低ければ座ってみる、相手のお気に入りの店があればのぞいてみる、などの行動をとってみます。特に目線の高さは重要で、スーパーのお菓子売り場を例に挙げると、よく考えている店は、お勧めのお菓子やその掲示物を、とても低い位置に配置しています。遠くから子どもが駆け寄ってきてパッと手に取り、親を見上げて「これ買って!」という流れをつくってあるのです。伝えるものは、相手の視界に入らないと、何の意味もありません。

 次に、相手の好みを見抜いたとしても、アイデアが複数あるときは、伝える順番、量、タイミング、温度を相手の好みに合わせなくてはなりません。コース料理と同じです。前菜とメインディッシュの順序が逆になったらいやですよね。量について、子どもの場合は、特に大変です。少ない量の後に多い量、という順序でものを与えないと大変なことになります。逆だと、2回目に与えたとき、「どうして少ないの?」と、すねられます。タイミングと温度についても重要です。本来は美味しい料理のはずが、伸びきったラーメンになってから出されても、食べられたものではありません。

 新規のお客さんを誘う場合、相手の好みに応じて伝えやすいTPOを意識することもアイデア発想のひとつです。

人数を増やし、
口コミを最大化する

――宣伝の最大のツールは口コミですが、どのように盛り上げていけばよいでしょうか?

 アイデアを口コミで広げていくときのコツは、「認知」拡散よりも「幸せ」の拡散です。

 集団を誘う「パーティー」に拡大して考えてみます。そもそも「パーティー」はなくてもいいものです。人の生存に必要不可欠な衣食住に直結しないのですから。でも、なぜ「パーティー」は、あったほうがいいものなのでしょうか? それは、楽しいものだからです。