都心のインフラ整備や再開発が進むことは、不動産価格にプラスだが、一方でビルの供給増による一時的な需給悪化も気になる所だ。筆者は、リーマンショック後の景況感悪化を受けて、多くのビルオーナーは賃料を下げ過ぎたと考えており、一定の(平均20%程度)の値戻しは期待できると考えている。

 足許で賃料上昇が加速しており、早期の値戻しが期待できる。一方、中期的には過去平均以上のビル供給があるため、弊社の分析では都心5区の空室率は中々4%を切る水準にならない。過去の例から、4%を大幅に下回らない状態では、値戻しが済んだ後の賃料上昇は、平均でCPI(消費者物価指数)と同等水準の緩やかなものとなろう。

注目企業:建設では鹿島と清水
不動産では三菱地所、JREITではオフィス系

 セクターの推奨順位は、建設、不動産、JREIT (ここでは詳細は言及しないが住宅は最劣後)と考えている。

 建設セクターでは、土木施工能力トップの鹿島と建築施工能力トップの清水建設を推奨。ただし、清水建設は既に昨年来アウトパフォームを続けているため、鹿島がトップピックだ。鹿島は、建築利益率の回復がやや遅れているが、ここからの業績改善率、株価上昇率は鹿島が上と考えるためだ。

 建設セクターではネガティブな話題が足元で少なく、大手ゼネコン、中堅ゼネコン、土木を主体とする専門工事会社などいずれもファンダメンタルズは良好で、業績は上振れ傾向にある。これと言って悪いサブセクターや企業が見当たらないのだが、敢えて言えば、施工能力の余力が大きいか否かが1つの銘柄選別の基準となろう。

 不動産セクターでは、収益構成比中の都心ビル比率が高く、ビル賃料上昇から恩恵を受ける三菱地所を推奨。都心開発案件の量や多様性で勝る大手不動産他社の方が、中期的な成長率はやや高いが、足許でビル賃料上昇に加速感が出ているためだ。前回は、都心のビル賃料の上昇が加速した2005年に三菱地所がアウトパフォームしている。当社は、過去数年、評価損計上や減益決算等でセクター平均をアンダーパフォームしたが、悪材料はほぼ出尽くしており、NAV(純資産価値)で見た株価の割安感、ファイナンスリスクの少なさ等から株価回復が期待できる。

 JREITでは、ビル賃料上昇の恩恵を受けるオフィス系JREITを推奨。配当利回りがセクター平均で3.5%に近づき、将来的な金利上昇リスクを加味すると、一段の利回り低下余地は小さくなったと考えるが、オフィス系では賃料上昇に伴う配当増加が期待できるためだ。