自動車各社の2008年度第1四半期(4~6月)の決算が出揃った。原材料費の高騰や為替レートの変動により、前年同期に比べると大幅な減収減益が目立つ。トヨタ自動車は四半期決算を開示した02年以降、四半期ベースでは初の減収減益となった。

 減収減益の要因としてもう1つ、大手3社が依存度を高める北米市場での、特に大型車の低迷が挙げられる。トヨタの北米での営業利益は、金利スワップ評価損益の影響を除くと16億円と、前年同期の1468億円から大幅減。
 
 小型車シフトによって、第1四半期を見る限りでは傷が少なかったホンダも、通期で考えるとやはり「厳しい状況」(近藤広一副社長)という。北米の年間全体需要は当初予想した1530万台を切り、1450万台でなんとか収まれば、との思いは強い。

 気になるのは来年以降の北米市場回復の見通しだ。各社の見解は異なる。日産自動車は今年、来年共に全体需要は1430万台、急速な回復はないと見込む。

 対してトヨタは、比較的楽観視している。今年は厳しい状況が続くが、「来年頭に米国の政権が変われば春先以降から回復する」(木下光男副社長)と読む。中長期的に見れば、日本やヨーロッパと違い、人口の伸びがあるので北米を成長市場と位置づけるからだ。

 しかし、北米の需要は、かつて米ビッグスリーが得意としてきた利益率の高い大型SUVから、小型車に移っている。小型車は低価格のうえ、最近の原価アップで利幅はさらに小さくなっている。

 トヨタは北米の生産体制を変更、ハイランダーやタンドラといったSUVやピックアップトラックを減産し、代わりに売れ筋であるプリウスの米国生産を始める。しかしハイブリッドはコストもかかる。

 原油が高止まりするなか、薄利多売を強いられ、自動車メーカーにとって北米市場の厳しさはしばらく続くだろう。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 柳澤里佳)