昭和史と向き合って
日本人にとっての戦争をひもとく
――デビュー10周年を迎えられて、今後の10年間のイメージはできていますか? 自分自身についてと、日本という国家についての未来予想図です。
真山 いや、日本のイメージは読めないですね、全然。
ただ、どんどん危うくなると思います。戦争をするかもしれないし、他国に占領されることはないでしょうけど、戦争に巻き込まれることは十分考えられます。
それと、国際社会で日本のプレゼンスが落ちるでしょうから、生き残りを考えていかなきゃいけない正念場が来ている。アベノミクスで生まれたバブルもいつ弾けてもおかしくない。そこの覚悟がまったくないですね。
そういう混沌とした未来の中で、若い人たちに未来を託せる社会が実現するように、もっと激しく警鐘を鳴らしたいというのが一つ。
もう一つ、歴史認識に対して、あまりにも偏見に満ちた声が大きくなってきたと思います。そこまで他国と憎み合うような言説が広がる根拠はどこにあるのかと、すごく不思議です。
まともに歴史を知らない人たちの勝手な情緒的煽りを、なんで誰も止めないのか。結局、多くの人が昭和史を知らないからじゃないか。高校や大学でさえ、最も重要な現代史をまともに教えないからですよね。
だから、今後の10年で、昭和史をちゃんとやろうと思っています。まず前半の5年で勉強し、昭和を知っている人たちに取材をする。場合によっては、その取材自体をどこかでオープンにしていきたいと思っています。
――それは、具体的には戦前の歴史ですか?
真山 とりあえず戦前です。最大のテーマは、なぜわれわれは戦争をしなきゃいけなかったのか。なぜ自分たちでコントロールして、戦争を終わらせることができなくなったのか。
それを考えるにあたっては、日本が中国や朝鮮半島で何をしたか、正確に知る必要があります。起きたことを正しく理解しないで、あいつらの言うことは嘘だとか、でっち上げだとか言うのは絶対おかしい。まず歴史をきちんと知りたいんです。
戦前からの歴史を正しく知ることで、戦後、日本がなぜこれだけ大きく復興できたのか、高度経済成長できたのか、バブル経済が弾けたのか……。その答えのヒントが全部あると思うんですね。