負ける喧嘩はしない――。これが、社内政治の鉄則です。仕掛けた喧嘩に負けたら、徹底的につぶされてしまうからです。しかし、「絶対に勝てる」なら、話は別です。特に、あなたが理不尽な立場に立たされているときには、その状況を覆すチャンスを逃すべきではないかもしれません。では、「政治闘争」で絶対に勝つ5つの条件とは?
敵が仕掛ける「トラップ」への対処法
できるだけ「敵」はつくらない──。
これは社内政治の鉄則ですが、現実的には難しいものです。
どんなに人間関係に注意を払っても、相手が一方的に敵視してくるケースもあります。特に注意が必要なのが、順風にあるときです。同期トップで課長に就任したり、課長として順調に実績を上げたり、上層部からの評価を得たり……。そのような局面では、“やっかみ”をこじらせて、あなたを敵視する人物が現れる可能性が高いと認識しておいたほうがいいでしょう。
そのようなリスクを避けるためには、謙虚であることを徹底することです。これは、言うは易くて、行うは難い。どんなに気をつけていても、順風のときには腋が甘くなりがちです。「実るほどに頭を垂れる稲穂かな」。言い古された格言ですが、この言葉を念入りに実行することが、あなたの身を守る最大の方法です。
それでも、敵が現れたらどうするか?
まず、防御態勢をとることです。
気をつけたいのは「トラップ(罠)」です。トラップというと、サラリーマン・ドラマで描かれるような“失脚劇”をイメージするかもしれませんが、現実の職場であるのはもっと小さなトラップです。致命的な損失を与えるようなトラップは、仕掛けるほうにもリスクが伴うからです。
ただし小さなトラップでも、それに引っ掛かるケースが重なると上司や部下の信頼が揺らぎ、あなたの影響力を低下させるおそれがあります。そこで、最低限の防御策は講じておいたほうが無難です。
もっとも注意しなければならないのは「情報」です。「情報」にトラップが仕掛けられるケースがいちばん多いからです。
たとえば、引き継ぎ業務に関する資料。前任課長から分厚い資料を渡されて、口頭で説明を受けたとします。ここで、トラップの可能性を考慮したほうがいいでしょう。
もしかすると、トラブル含みの案件があるかもしれません。本来、そういう案件については前任課長が念入りに説明しておくべきですが、あなたを「敵視」している人物であれば、あえてそれを口頭では伝えず、分厚い資料のなかにまぎれこませているかもしれません。
もしも、あなたが、その案件についての記述を見逃して、適切な対応をせずにいると、後々、問題になるおそれがあります。そのとき、「聞いてませんでした」と抗弁しても通用しません。なぜなら、資料にはちゃんと書いてあるからです。
もちろん、資料をきちんと読み込むことでトラップは回避できるでしょう。しかし、もっと有効な手段があります。この段階で、トラブル案件の有無について明確に質問しておけばいいのです。しかも、口頭ではなく、メールなどの証拠として残る手段で質問する。相手からも証拠として残る形で回答してもらいます。その証拠があれば、後々、相手の説明責任を問いただすことができるからです。おそらく、相手はそれを恐れて、正確な情報を提供するに違いありません。
このように、常に、トラップが仕掛けられる可能性を考慮したうえで、それを回避する手立てを講じておく必要があります。手堅い防御態勢を示しておけば、相手もやすやすとはトラップを仕掛けられなくなるでしょう。