「情報の質」を見分ける、
たったひとつの方法

  では、「情報力」を身につけるには、どうすればよいのでしょうか?

 まず大事なのは、情報に溺れないことです。日々、流通している膨大な情報のすべてをチェックするのはムダが多過ぎます。たとえば、社内や部署内で一斉送信されるメールや回覧資料。これらのすべてを精読するのはバカげています。これらのほとんどの情報は見出しだけ見れば十分。重要なものだけ精読すればいいのです。

 ここで問われるのは、何が重要な情報なのかを嗅ぎ分ける「嗅覚」です。そして、「嗅覚」を磨くためには、明確な「問題意識」をもつことです。「会社はどこに向かおうとしているのか?」「会社全体で問題になっているのは何か?」「自分の部署にとって何が重要か?」……。こうした「問題意識」が明確であれば、自然と「情報の質」を嗅ぎ分ける「嗅覚」が身につくはずです。

「経営方針・経営計画に関する情報」「人事情報」「事業の新設・拡大・縮小・撤退に関する情報」「部門ごとの売上・利益に関する情報」などは絶対的に重要な情報ですが、それ以外にも「問題意識」に引っかかる情報は頭に入れておくべきでしょう。逆に、そうでない情報は捨て去ればいい。

重要情報を握る「キーパーソン」を攻略する

 ただし、これらの公式情報はあくまで「2次情報」です。

 ビジネスにおいても、新聞などのメディアで報じられる「2次情報」の価値はそれほど高くありません。勝負は、メディアで報じられる前にいかに情報にアクセスできるかにかかっています。自分で確認したか、人づてに入手した「1次情報」こそ価値の高い情報なのです。

 ある上場企業の社長は、こうおっしゃっていました。
「もちろん、新聞・雑誌は必ずチェックします。ただ、そこで勉強するというよりも、自分の情報感度をチェックしているといったほうがいいですね。すでに知っているニュースが減ってくれば、情報感度が落ちている証拠です」

 社内政治も同じです。
 社内の公式発表ではじめて知る情報が多いのは、情報感度が低い証拠。その時点で、ライバルに差をつけられていることを認識したほうがいいでしょう。そして、「1次情報」を入手するルートを強化すべきです。「価値の高い情報」を握っているのはキーパーソンです。そのキーパーソンとのルートを築いていく必要があるのです。

 ただし、いきなりキーパーソンとの情報ルートを築くわけにはいきません。なぜなら、「価値の高い情報」は、「相手の役に立つ情報」を提供したお返しとして与えられるものだからです。手ぶらで「いい情報をください」と言っても、キーパーソンは相手にしてくれません。ここに、パラドックスがあります。「価値の高い情報」を入手するためには、まず、あなたが「価値の高い情報」を提供しなければならないからです。