人は常に全速力では走れない
たとえばマラソンで、スタートから全力疾走したら、どんなランナーでもあっという間にバテてしまいます。仕事も同じで、一日中、常に全力を出して仕事をすることはできません。
リタイアまでの40年間という長いスパンで見ても、状況に応じて、力を入れる時期もあれば抜く時期もあるのが普通ではないでしょうか。気を張るときと、気を緩めるとき、上手に使い分けなければ途中で息切れしてしまいます。
ただ、その人の性格によっても適度なサボり方というのは変わってきます。
一日に2件の契約が取れたとして、ある人は「明日ラクをするために、今日上司に報告するのは1件だけにして、もう1件は明日報告しよう」と考える人もいます。
また反対に、「契約のストックがあると甘えてしまうから、何件契約しようと全部今日中に報告しよう」という人もいます。
どちらにしても成果は上げているわけですから、問題はありません。自分の性格をよく把握して、適度にサボったり、あるいは自分にムチを入れたりと、最適な速度で走り続けられるように自己コントロールをすることが大事です。
上司やリーダーの立場にある人は、このような営業の特性をよく理解してほしいと思います。昨今では営業支援ソフトやスマートフォン(スマホ)のGPS機能を使って、営業の一日の行動をつぶさに監視しようという動きもありますが、仕事は「自由」と「規律」のバランスです。仕事で成果を出すうえで大切な自由度を奪うような管理手法は、あまり感心できません。
「一日のノルマを終えたらそのまま帰宅してもいい」くらいの自由さがあったほうが、部下は伸び伸びと仕事ができ、かえって成果が上がるのではと思います。