「経済成長→世界恐慌」の
結末とは?
10月24日、「暗黒の木曜日」に大暴落が始まりました。株価は7分の1に下落、暴落から1週間で株式市場は300億ドルの損失を出しました。これは当時のアメリカ連邦政府の10年分の国家予算に匹敵します。
破産者が続出し、現金を引き下ろそうと人々が銀行に殺到したため、銀行も資金が枯渇して営業停止に追い込まれます。銀行から資金を調達できなくなった企業の連鎖倒産も始まり、倒産しなかった企業も大規模な人員解雇を始めます。4人に1人が失業するという異常事態の中、1932年の大統領選挙では現職のフーヴァー大統領(共和党)が大敗し、ニューヨーク州知事だったF・ローズヴェルト(民主党)が大統領に当選します。
第一次世界大戦の敗戦国ドイツは、アメリカからの投資で経済復興を進め、賠償金支払いを行っていました。しかし世界恐慌が始まると、アメリカの金融資本は海外に投資していた資金を一斉に引きあげてしまいます。
ドイツは点滴を外された患者のようなものでした。たちまち多くの企業が倒産し、失業率は50%に迫ります。それまで、賠償金の支払いと協調外交を進めてきた社会民主党政権は、国民の支持を失いました。
そんな中、賠償金支払いを拒否し、植民地再分割を要求する政治家が、救世主のごとく登場し、ドイツ国民を熱狂させます。アドルフ・ヒトラーです。