経済成長はストップ。
しかし株価は上昇。なぜか?
1920年代後半にはヨーロッパ経済が復興し、アメリカからの輸出はピークを超えていました。これに伴って企業は売れ残った商品の在庫を抱え、収益もマイナスに転じ、経済成長率は息切れしつつありました。
つまり、実体経済の不況はすでに始まっていたのに、何も知らない庶民が株式に手を出していたため、株価だけが異常な上昇を続けていたのです。まさにバブルです。
「ウォール街の靴磨きの少年が株の話をしているのを聞いて、これはヤバいと思った」と語ったのは投資家のパトリック・ケネディです。彼は暴落直前に株を売り逃げ、巨大な利益を得ました。
彼はこの資金をある政治家に投資します。1932年の大統領選挙で当選したF・ローズヴェルトです。パトリックは功労者として政界入りし、駐英大使に抜擢されました。大統領になるというパトリックの夢は、次男のジョン・F・ケネディに引き継がれます。
1929年1月、株価高騰を背景に、フーヴァー大統領が施政方針演説の中で「アメリカは貧困を克服した」と自画自賛しましたが、破綻はもうすぐそこだったのです。
ニューヨーク、ウォール街の株式市場では、同年9月をピークとして株価は徐々に下がり始めました。そして、運命の日が訪れます。