営業という名称は古い?
青木 これからは営業の名前自体を変える必要があるかもしれませんね。「アドバイザー」とか「コンサルタント」と言わないとね。実際に研修先であるリフォーム会社の営業が訪問したときの話です。
その会社の営業マンは、「どうせ、営業でしょ?」と言われてしまい、すぐに「いや、営業ではありません。アドバイザーです」と言ったそうです。
それだけで、話を聞いてもらえるようになった、と(笑)。
武沢 それは面白い話ですね。「相手の靴を履け」という話がありますが、そうするには、自分が靴を脱がなければいけないし、相手に脱がせなければいけない。もちろん、許可をとらなきゃいけない。そういう意味では、「質問型営業」はいいですね。
青木 相手の立場に立つなんて、元来できないもの。けれども、質問していけば、相手の気持ちが分かるようになってくる。
武沢 そうすると、相手の役に立ちたいとモチベーションがあがってきますね。欲求・ニーズを聞いて提案する、これが強みになるんですね!
「結果管理」では営業マンは育たない!
武沢 「営業管理」で思うことがあるんです。どうして、企業は「結果管理」ばかりを重要視するのでしょうか。そういう会社は、月100万円を目標とします。
でも、ノルマを達成するためには、契約数、商談件数、アポ、見込み客発見など、手前の目標を作っていくことが求められます。そうすると、月間100万円が目標ではありません。たとえば、1日5件アポをとる。そのために、1日20本集中して電話する、と目標をブレイクダウンできる。それを、上司も本人も会社全体で合意できていればいいわけです。
青木 それを先にいくのが、本書でも紹介している毎日の「振り返り」。私は電話のあり方、面会のあり方の変化が大事だと言っています。「件数が増えた」とか、「お客様がもっとしゃべってくれた」とか。そういう変化の積み重ねが、売上を伸ばす大事な要素なんです。
武沢 今、私が言ったのは「量的管理」。青木さんが言ったのは「質的管理」。この両方が大事。これをやっていないと、「100万いきそうか」「もう少しです」という会話になってしまい、営業活動がつらくなるだけです。
青木 社長も責任者も、もっと違う方向に目をむけてほしいものです。
これまでの経験から、営業が成果を出すと会社の雰囲気が明るくなります。営業の改革によって大きく会社が変わるんだ、と。それを信じてもらえない場合もありますが、結果が出始めると、質問型営業の研修を採用した企業の社長から「本当にそうですね」とのちに言われますね(笑)。
そのように結果を出す企業は、トップや幹部が営業の研修に参加しています。100人でも1000人の規模でも、社長が研修に参加している企業は、必ず伸びています。たまにでもいいんです。そうすることで、会社をあげての研修だと全員が理解し、皆が真剣に取り組む。