近頃、1000円以下の安いワインが広まっていますよね。この「第7次ワインブーム」の本格化に合わせて、ぜひとも知識を仕入れたいところ。今回ご紹介する『僕がワイナリーをつくった理由』を読めば、人一倍詳しくなれること請け合いです。

低価格輸入ワインが市場を拡大
過去最高を記録した国内ワイン出荷数量

落希一郎著『僕がワイナリーをつくった理由』2009年6月刊。装丁には「カーブドッチ」ののどかで美しい風景写真が使われています。

 久方振りに、日本のワイン市場が活況を呈してきたようですね。1997~98年以来の「第7次ワインブーム」到来を、マスメディアも喧伝し始めています。ワイン好きなら知らない人はいない『神の雫』続編の連載もスタートしました。『神の雫』は2004年に漫画誌『モーニング』で連載が始まり、14年にいったん終了しました。この間の連載分は単行本として刊行され、ワイン党たちのバイブルと化しています(かく言う筆者の自宅の本棚にも、全44巻が揃っています)。

 その続編のタイトルは、『マリアージュ~神の雫 最終章~』。『モーニング』および『週刊Dモーニング』に今年5月から連載中です。第7次ワインブームの到来に歩調を合わせるかのように始まったこの新連載に、日本のワイン業界が熱い視線を注ぐのも無理からぬことです。なにしろ、かつてこの漫画が原因でボルドーワインの価格が高騰し、出荷元が出荷を停止する事態に発展したことがあるほど大きな影響力を持っているのですから。

 それはさておき、国税庁などの調査によると、国内のワイン市場は08年から拡大を続け、1本1000円を下回るような低価格の輸入ワインが多く出回るようになった12年より市場が一気に拡大しました。翌13年は出荷数量が35万キロリットルを超えて過去最高を記録!(とはいえ、成人一人当たりの年間消費量はボトル換算でまだ4~5本といったところです)。

 わけても伸長著しいのが、「新世界」のワインです。「新世界」とは、古の時代からワインづくりをしてきた欧州大陸のフランスやイタリア、スペイン、ドイツなどの「旧世界」に対して、アメリカやチリ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなどの新興諸国を指しています。

 それら「新世界」の代表選手であるチリは、13年には対日輸出量でみた国別実績でイタリアを超え、フランスに次いで初めて2位の座を獲得しました。背景には、日本とチリのあいだに発効したEPA(経済連携協定)があります。これによってチリから輸入するワインの関税が下がり、手ごろな価格のワインの輸入が急増したのです。