聖光学院
生徒を拘束しないで
エリートを育てる

 東京大学と京都大学の合格者合計が毎年80人前後に及ぶ、神奈川県トップの進学校の聖光学院。カトリック系男子校で創立57年となる。

「1人何役も担う大変な時代を生き抜く力を生徒に付ける」と言う聖光学院・工藤誠一校長

 工藤誠一校長は何のてらいもなく「真のエリートを育てるのが当校の使命」と言い、「大学が教養課程を廃止し、入学後すぐに専門的学問に入る今日、リベラルアーツ(教養)教育は、当校のような私学の中等教育が担うべき」と考える。

 具体的に、自己啓発型学習の「聖光塾」では、中学1年~高校2年の生徒が学年を超えて関心を持ったテーマを学ぶ講座を開く。茶道文化を体験したり、大学院生と共にバイオ関連の実験を行って結果について考察したりなど年間20講座ほどある。「選択芸術講座」では20人以下の少人数で、美術や音楽などの専門家を外部から招いて年度末に発表会を行う。「社会に開かれた学校」を方針に14年以上続けてきた。

 今はさらに進み、「生徒を学校に縛り付けない教育」を展開する。

「若いうちから社会の現実や現場を知った方がいい。例えば、社会に出れば、さまざまな局面で意見の対立に遭遇する。それは、立場によってそれぞれの正義があるということ。そうした現実を踏まえて打開策を探ることが人生を生きる力になる」と考える。

 東日本大震災の起きた2011年には発生3カ月後の6月に、40人ずつ2回に分けて計80人の生徒が岩手県宮古市でボランティア活動を行った。以来、毎年、現地での支援活動を続けている。

 最新システムの導入にも意欲的だ。生徒1人に1台のタブレットパソコンを持たせ、今秋からはメールアドレスを配布する。

「どこからでも、どの先生に対しても、学習面を含めてあらゆる質問を送れるようにする。また、インターネット環境において生徒同士で共同作業ができるようにしたりして、中学1年からICT(情報通信技術)を使いこなせるようにしていく」

 これも学校に縛り付けない教育の一環だが、「導入前にモラルやリスクについての教育はみっちりと行う」。

 また、高校卒業までに英語を話せる力を身に付けさせるべく、今年からスカイプを使ってフィリピンの現地講師による英会話レッスンを始めた。中学1年から講師と1対1のレッスンを学校で週3日、自宅で週2日、1回30分ずつ受ける。

「英語は使うことが大事」と、希望者を連れて今春は米国シリコンバレーの企業や大学を訪問し、今夏はフィリピンのセブ島で2週間の合宿を実施する。

 さらには、外国の学校と提携して留学制度をつくり、相手校で学んだ科目を、卒業必要単位と認める仕組みを構築しつつある。

「経済大国として世界が日本を注目した時代は終焉。今後は自ら発信しないと日本も日本人も埋没してしまう。その手段としてのICTと英語は、社会に出るまでに習得させる。とはいえ、最も重要なのは発信する中身。それを自らつくり出す素地を6年間で育てる」というのが一連の精力的な施策の理由だ。

ランキングの見方
 2009年の入試偏差値(「入り口」学力)に比べて、今年(15年)の「大学合格力」偏差値(「出口」学力)が大きい順に、ベスト50校をランキングした。上位の学校はこの基準で見て、6年間で生徒の学力が伸びた(伸長度の大きい)学校だ(▲はマイナスを示す)。15年の入試偏差値で3グループに分け、「大学合格力」を測る対象の大学を変えた。本稿では、現在の偏差値が56超の学校を対象に、難関大学(超難関大学<東京、京都、大阪、名古屋、北海道、東北、九州の旧7帝大と東京工業、一橋の9大学)に、早稲田、慶應、上智、東京理科を合計した13大学)の合格力で測った。詳細およびその他の3グループについては、現在発売中の『ダイヤモンド・セレクト2015年8月号 中高一貫校・高校ランキング』をご参照ください)。
協力:日能研、河合塾、大学通信
 

 『ダイヤモンド・セレクト2015年8月号 中高一貫校・高校ランキング 2016年入試版』では、国公立大学への合格力とそれを高める個々の学校の特徴に加えて、医学部の合格力ランキング、入試偏差値と大学合格力の差で見た「お得な学校」ランキングなど、色々な角度から、全国の中高一貫校と高校の「今」を分析し、取材しました。

 そして、東京大学と京都大学の新総長のインタビューも掲載しています。

 子供にとって最善の学校を選択していただくために、本誌をご活用して頂ければ幸いです。