3)「叱る」内容はバランス良く

誰だって叱られるのは好きではありません。けれど、叱られたことによって、自分自身が成長できたと後々感謝することって沢山あるのではないでしょうか。

部下にとって後の成長に繋がる叱り方ができるかどうかは、まさに上司の腕の見せどころです。

そのためには、一方的に責めたり、叱ったりするのではなく、必ずバランスを取るということを心がけましょう。

例えば、厳しいことを言っているのに、目元や口元に優しい笑みがときどき見えたらとどうでしょう。少なくとも相手には、こちらの「愛情」や見捨てるわけではない「支援の意思」が伝わるのではないでしょうか。

また、厳しく叱った後、最後に「頼んだぞ」といって肩をたたいたらどうでしょう。叱られた方も、頑張ろうという気持ちになれるのではないでしょうか。

まずは日頃、評価している部分やいいところを認めてから、叱るというバランスのとり方もあります。

バランスということで、もうひとつご紹介したいのは、「グッドコップ・バッドコップ」という手法です。
これは、自分以外にも叱る人間がいる場合にやってみるといいでしょう。

複数の人から叱られ、それも人数が多くなればなるほど、叱られる方の圧迫感や屈辱感は高まるものです。

そこで、一人が叱ったら、もう一人はいいところを褒めてみたり、サポート側に回ったりするのです。

こうすると、叱られる方が意固地になったり、頑なになったりすることを避けながら、素直に叱責を受け入れてもらう土壌ができます。

4)フォローする

最後はフォローです。
「アクティブ リスニング」では、今後に繋がるラップアップのために、「フォロー」を不可欠のステップととらえています。

叱る場面でのフォローも、叱ったことを取り繕うために、優しい言葉をかけるという意味合いではありません。
あくまで、部下が次の失敗を出さないようにするために、また成果に結びつきやすくするためのフォローです。

例えば、後日、進捗状況がどうなっているかメールを送ったり、時々声を掛け不安を聞き出したりするのもいいでしょう。

常に見守られている、サポートしてもらえるということが分かれば、それだけでも部下がモチベーションを維持するきっかけになります。

このように私たちがビジネスやプライベートで直面する多くの場面で「アクティブ リスニング」は役に立ちます。

また、次回も皆さんの役に立ちそうなTipsをご紹介していきます。

谷本有香(たにもと・ゆか)
経済キャスター/ジャーナリスト/コメンテーター
大学卒業後、山一證券に入社、社内の経済キャスターに抜擢されるが、会社が自主廃業となり、フリーランスキャスターの道に。フリーの世界で仕事をさせて頂くために、試行錯誤しながら見出したのがこの「アクティブ リスニング」。この技術に出合ってからは、十数年にわたって経済キャスターの第一線で活動し、日経CNBCでは初めての女性コメンテーターに抜擢される。トニー・ブレア元英首相、マイケル・サンデル ハーバード大教授、著名投資家のジム・ロジャーズ氏などの独占インタビューをはじめ、世界のVIPへのインタビューは1000名を超える。BloombergTV、日経CNBCなどを経て、現在はフリーで国内外の著名人インタビューや、金融・経済セミナーのモデレーター、Huffington Post、TABI LABO等でコラムなどを手掛ける。また、テレビ朝日『サンデースクランブル』ゲストコメンテーターとして不定期出演中。2015年4月から、日経 CNBC『夜エクスプレス』アンカー