『フォーブス』誌発行人を務め、連続起業家でもあるリッチ・カールガードは「成功し続ける企業」の5つの条件を、ウォール街からシリコンバレーまで全米企業への徹底取材から明らかにした。本連載は『グレートカンパニー――優れた経営者が数字よりも大切にしている5つの条件』からそのエッセンスを紹介する。第6回は、最適のチームメンバーの数を決める方法がテーマだ。
10人前後のチームが「基本的」にはベスト
機敏で革新的であり続けようとする企業が増えるにつれ、10人前後のチームが、ほどよい大きさで、高い業績を最もあげやすいことがわかってきた。
アマゾンの創業者でCEOのジェフ・ベゾスはこれを「2枚のピザ」ルールと呼び、開発チームはピザ2枚を食べきれる人数であるべきだと述べている。
ただ、この呼び方を考え出したのはベゾスではなく、1970年代にパロ・アルト研究所(PARC)で初めて使われたようである。
パロ・アルト研究所が1970年代に、現代のコンピュータに関する柱のうち三つ──グラフィカル・ユーザー・インターフェース、ページ記述言語、ローカルエリア・ネットワーク──を発明したことを思い出してみよう。これだけでも、「2枚のピザ」ルールはぜひ心にとめるべきだと考える十分な理由になるだろう。
「2枚のピザ」ルールを使う表面的な理由で最も多いのは、このルールに従えばチームをきわめて機動的にし続けられるということだ。フットワークが軽くなるのはたしかだ。しかしもう一つ、もっと深い理由がある。メンバーが10人前後であるほうが、他のメンバーを気遣いやすいのである。
10人前後だと、情報もはるかに共有しやすい。互いに助け合うこともずっと多くなる。重要なミッションの場合なら、自分を犠牲にすることもあるだろう。アメリカ陸軍特殊部隊は12人編成のアルファ作戦分遣隊を最小単位としているが、驚くにはあたらない。兵士は仲間を守るためなら手榴弾に自分の身を投げかけることも厭わない。
こうした行動が生まれるのはビジネスでも同様である。
少人数のチームでは、マーケティング担当のメンバーが、たとえ深夜になっても、他のメンバーがプレゼンに磨きをかけるのを手助けする。エンジニアは、製品が完璧な状態で発売できるよう、最後の最後まで協力を惜しまない。
どんな状況でも使える
「-1」ルール
このような結束はチームの規模が大きくなるにつれて弱くなる傾向がある。100人いてもある程度は他のメンバーを気遣うかもしれないが、心の底からというわけではない。それだけではなく、チームの結束力が逆に厄介な問題になってしまうのだ。
そのため、いつも次のように問うことが重要だ。
「チームメンバーが何人いれば、仕事を完遂できるだろう」。取材を重ねるなかで耳にしたアドバイスをまとめると、こうなる。
「必要だと思う最少の人数まで削り、そこからさらに一人減らすこと」。
「マイナス1」の考え方はマネジメントの第一人者、トム・ピーターズから聞いたのが最初だったが、この考え方に従ってチームをつくると、残りのメンバーが否応なくクリエイティブになる。
まずはここから始めよう。無駄をなくし、貪欲に。
たとえ管理できると思っても、12人より少なくすること。増やすことはあとでいつでもできるのだ。