自分の強みをフル活用する 「強み思考」
自己肯定感を高めるために、私が企業向けの研修などでおすすめしている方法が、自分の「強み」をフル活用することです。
若手社員を対象とする研修で「自分の強みを知っている人はいますか?」と聞くと、ほとんどの人が手を挙げることができません。
一方で「自分の短所や直すべき弱点は理解していますか?」と聞くと、多くの人がさっと手を挙げます。まるで自分の弱みの自己理解には自信満々なようです。
おそらく中学・高校・大学で同じ質問をしても、自己の強みを把握している人は、少数派でしょう。学校教育のあり方が、弱みを正すことに偏っていることを表しています。
さらに、企業組織における人材育成のあり方も、従業員のミスや失敗を少なくするために、まずは足りない点を見極めて、それをなくすことに優先順位を置いていることにも気づきます。
弱点を直すことは大切です。しかし、それだけでは不十分なのです。経営学者のピーター・ドラッカーも言い残しているように「何事かを成し遂げられるのは、強みによってである。弱みによって何かを行うことはできない」ということは真実なのです。
ただ、多くの人が、自分の強みについては把握していません。
「あなたの強みを3つ答えてください」と聞かれてすぐに返答できる人は、どれ程いるでしょうか?
この問題を「強みの無知(Strength Blindness)」と心理学では称されています。自己の強みを把握できていない人は、海外でも多数派なのです。
一方で、欧米の親の中には「うちの子をオンリーワンに育てたい」とする教育観を持つ人がいます。子どもの個性を尊重し、強みを認め、それらを活かして「オンリーワン」的な存在になってほしいと望んでいるのです。
自分に与えられた才能・資質・強みを活かした大人が社会から尊敬され、仕事でも成功することを理解しているのでしょう。
ただ、日本では自分の子どもがクラスで目立ちすぎると、いじめの対象になるのではないかと心配する親がいます。
「他の子と比べて、落ちこぼれないように育って欲しい」と望む親の方が多いのではないでしょうか?
それが子どもの弱点を直し、間違いをなくそうとする「問題中心型」の教育観につながってしまうのです。