初代ファミコン世代には懐かしいフォルムの「妄想コントローラ」。効果音を頼りに、まさに「妄想」でプレイする。

 1991年に大人気となったアーケードゲーム「ストリートファイターII(ストII)」。メインキャラのリュウが放つ「波動拳」や、ヒロインの春麗が繰り出す華麗な必殺技「スピニング・バード・キック」に魅了された人たちも、多いのではないだろうか。

 「ストII」を筆頭に、20年余りの月日を経てもいまだに根強い人気を誇るゲームは数多くある。このほどバンダイが発売した「妄想コントローラ」は、そんな懐かしのゲームを、効果音とBGMを聞きながら“妄想”でプレイするという、ちょっと変わったコンセプトのチェーン玩具だ。

 現在のラインナップは、「ストII」「ゼビウス」「ファミスタ」の3つ。「ストII」は「リュウ、ブランカ、サガット」「ケン、E.本田、ガイル」「春麗、ダルシム、バルログ」の3バージョンが用意されている。

 見た目は、初代ファミコンのコントローラ風。背面のスイッチをONにするとオープニングメロディが流れ、十字キーと2つのボタンで操作する。モニターはないので、もちろん“妄想”しながらキーを操作するのである。

 「単に効果音が流れるだけなのでは?」と思うかもしれないが、それは早計だ。たとえば「ストII」なら、コマンド入力するとそれぞれのキャラクターの必殺技を繰り出すことができる。

 十字キーを「↓」「↑」に操作した後で、右の「K」ボタンを押すと、春麗が「スピニング・バード・キック」を繰り出すときのボイスと効果音が聞こえてくるから、びっくりだ。

 「ストII」の場合、20秒間のバトル中に一定回数のコマンドを入力することができれば、勝ちとなる。コマンド入力がメインなので、画面がなくても多少はプレイし易いであろうことは理解できる。

 では「ファミスタ」や「ゼビウス」はどうか?

 「ファミスタ」は、それぞれ球種の効果音を覚えて、どの球が投げられたのかをその都度判断する必要がある。その上で、バットを振るタイミングやバッターの位置を決めなければならない。

 懐かしいというよりも、聴覚を駆使する新しいタイプのゲームを体験しているような気分になる。この感覚は、仮想地図上をプレイする「ゼビウス」も同様だ。

 初めは確かに戸惑うかもしれないが、不思議なもので、慣れてしまえばそれほど苦にならない。昔やりこんだゲームであれば、意外に体(指先?)が覚えているものだし、同時に耳だけを頼りにした新感覚のゲームとしても愉しめる。

 「“妄想”でゲームをプレイする」と聞くと荒唐無稽に思えるが、ゲームからモニターを取り去ってしまうという発想は、斬新で面白い。とかく目が疲れ易いお父さん世代でも、懐かしさを覚えると共に、熱中できるのではないだろうか。

(中島 駆)