「保存するメモ帳」は筆者も愛用している。リフィルは「OSANPO SHOPPING」で公開されている5mm方眼タイプをA4コピー用紙に印刷して使用している。「保存するメモ帳」は5800円。カラーはブラック、チョコ、キャメルの3色。直販サイト「スーパークラシック」で販売されているほか、高島屋の一部店舗でも展示・販売している。

 携帯電話やスマートフォン、ネットブックなど、小型のデジタルデバイスが普及したことにより、デジタルでメモを取る人も増えている。デジタルメモの特長は、メモをデジタル化しておくことで保管場所が不要なことと、過去のデータを参照し易いことだ。

 しかし、サッと取り出して素早くメモを取るという用途においては、手書きメモに一日の長がある。そのため、現在でも手書きメモを手放せないという人も多い。だが、手書きメモは管理が大変。過去のメモを見返そうと思っても、すぐに探し出すことが困難だ。

 そこで最近注目を集めているのが、バリューイノベーションの「保存するメモ帳 abrAsus」だ。

 このメモ帳は、リフィルを挟んで使用する、いわゆる「ジョッター」と呼ばれるタイプだが、そのリフィルが他とは違う。使用するのは、普通のA4サイズのコピー用紙なのだ。

 A4用紙は3回折ってA7サイズにしてから挟んで使用する。こうすることで表裏16ページのメモ帳となる。

 ごく普通のA4サイズの紙であれば、何でも使用できるというのも面白い。会社ならばコピー用紙は普通に存在するし、街中で紙が切れてもコンビニのコピー機に10円を入れて白紙でコピーすれば、すぐに手に入る。もちろん、使用済みのコピー用紙の裏でもOK。A4であればどんな紙も使える。

 また、A4の用紙を使用することにはもう1つの意味がある。それは、スキャナで読み取り易いサイズなのだ。書き終わったメモを広げて、スキャナで読み取り、パソコンにJPEGやPDFファイルとして保存することで、簡単にデジタル化が可能になる。「保存するメモ帳」は、アナログでありながらもデジタルとの相性がいい。

 スキャナがなければ、デジカメや携帯電話のカメラで撮影しておいてもよい。つまり、書き終わったメモは、そのまま保存するのではなくデジタル化することが前提となっている。

 そして書き終わったメモは捨ててしまう。「保存するメモ帳」なのに捨ててしまうというのも面白いところだ。もちろん、書き終わった用紙をそのままファイリングして保管しておいてもいい。使い方は自由だ。

 最近デジタル・ノートとして注目を集めている「Evernote」との親和性が高いのも特長だ。デジタル化したメモをEvernoteに取り込んでおけば、パソコンだけでなくiPhoneやAndroidケータイなどからも閲覧が可能。つまり、過去のページはEvernoteで参照し、現在のメモは「保存するメモ帳」に保存しておく。未来のページは、至るところにあるというわけだ。

 バリューイノベーション代表の南和繁氏は、もともとベンチャー企業に出資をするベンチャーキャピタルなど、IT関連のビジネスをしていた。しかし、自分が使いたいものを求めていくうちに、自分で製作して販売することになったという。

「身に付けるものは薄くあるべき。携帯性も重要な要素」という南氏は、この「保存するメモ帳」の他にも、「薄い財布」や「薄い名刺入れ」を開発。どれも発売以来好評となっている。

 保存するメモ帳にはカード入れも装備されており、予備の名刺やICカードなどを入れておける。右サイドには、「ぴったりなペン」と呼ばれる細いボールペンも付いており、このメモ帳だけ持ち歩けばとりあえずメモに困らないように配慮されている。

「多くの人に使ってもらってアイデアをいただき、よりいいものにしていきたい」という南氏。実際に、ユーザーが独自のリフィルを作成して公開するなど、自分なりの使いこなし方をしている人が増えている。

 ごく普通のA4コピー用紙というアナログなデバイスが、もっともデジタルに適しているという、コロンブスの卵のような「保存するメモ帳」。これまでいろいろなメモ帳を試してきたけれど、どれもしっくりこないという人は、一度試してみてはいかがだろうか。

(三浦一紀)