相次ぐゲリラ豪雨を受けて、ネットを利用した気象予報サービスが続々登場している。ピンポイントで雨雲等の最新情報をメール配信してくれるものが主だが、なかには家庭用テレビに災害情報を配信する試みもある。

 ライフビジネスウェザーとドワンゴが共同運営する「10分降りダス」は、“1日144回更新”が目玉の携帯電話向けサービス。ライフビジネスウェザーが開発した独自アルゴリズムにより、10分毎の更新と1キロメートル四方というピンポイントでの予測を実現した。これにより、これまで困難とされた局地的な豪雨の発生でも、高精度な予測が可能になったという。今年の集中豪雨のケースを見ても、降り始めから瞬く間に浸水してしまった家屋は多い。分刻みでの情報の把握は極めて重要と考えられるだけに、ぜひ活用したいものだ。

 災害情報を知る手立ては、もちろん、携帯だけとは限らない。大きな被害に遭う可能性のある高齢者にとって馴染み深いのは、携帯電話よりもテレビだろう。その意味では、このほどニフティが発表した、自社コンテンツをテレビ向けに配信する試みは興味深い。これは、「rescuenow@nifty(レスキューナウ・アット・ニフティ)」内の交通・災害情報を、ソニーの液晶テレビ「ブラビア」でチェックできるサービス。ネット環境が必須となるものの、お茶の間で手軽に最新の災害情報にアクセスできる利点は大きい。

減災ラボwithにいがた
平成20年8月にスタートした「減災ラボwithにいがた」。「減災マップ」上には、気象情報だけでなく「備蓄倉庫」や「避難場所」なども表示される。(C)WEATHERNEWS INC. ALL RIGHTS RESERVED.

 さらにもう一歩踏み込んで、地域全体で気象情報を共有し、有事の際の被害の軽減を狙うプロジェクトもある。ウェザーニューズと新潟市との協働で始まった「減災ラボwithにいがた」は、市内23ヵ所に配置した観測機の他に、新潟市民にも協力を仰ぎ、自宅やオフィスに専用の観測機を設置する。各観測機から送られたデータは、サイト上のマップにリアルタイムに公開される仕組みだ。

 また、市民からの「減災レポート」も受け付け、こちらもマップ上に反映、蓄積される。「水溜まりができた」「風で植木鉢が倒れた」といった身近な被害状況は、気象レーダーでは捉えにくい。コンピューターによる解析だけではなく、人間の感覚を加味した、きめ細かな地域密着型の情報提供が特徴だ。

 「雨の降り始めや種類によっては、気象レーダーに映らない場合があります。人の感覚を基にしたレポートは、多ければ多いほど天候の実況を把握する上での貴重な情報といえるでしょう」(ウェザーニューズ「減災ラボ」プロジェクトチーム)

 「夕立は馬の背を分ける」という諺があるが、デジタルとアナログそれぞれの良さを上手く駆使することが、“馬の背中の境目”を見極めるポイントなのかもしれない。今後、どのような気象予測サービスが登場するのか、注目したいところだ。

(中島駆)