もちろん、読書を通じて得るものがあってもいいのですが、この情報洪水の時代に、すべてを自分の中にため込もうとするのは無茶というものです。
だったら、「自分の中に情報を書き写そう」という意識を最初から捨ててしまい、「自分の外に書き出せばいい」というスタンスで本と向き合ったほうがよくはないでしょうか。
「書くために読んでいる」という意識で本を読むようになると、「覚えるために読んでいる」という面倒な固定観念が脇に押しやられますから、読書が非常に楽になります。
いうまでもないことかもしれませんが、僕がこの事実に気づいたのは、書評家という仕事をはじめたからでした。
僕の場合、まず「どんなことがあってもレビュー記事を書かなければならない」という絶対的な事情があり、やむを得ず「書くために読む」ことになりました。
そして、実際にレビューを書く毎日がはじまると、読書の負担がものすごく軽くなったのです。
でも、「『書け』といわれても、いったいなにを書けばいいの?」と思いますよね。
「そもそも文章を書くのが苦手だし……」
「夏休みの読書感想文って、大嫌いだったんだよなあ」
そんな人もいると思いますが、難しい話ではありませんのでどうかご安心を!
これについての詳細はまた次回。
(第11回に続く 3/8公開予定)