組織では皆フリーライダー予備軍?
タダ乗りに迅速に対応する企業とは

 先日、某大手企業の若手社員にお話をうかがう機会があった。

 その企業については、私たちも取材したことがあり、「フリーライダーを生まないための人事」をかなりうまく行なっていた。

 しかし、若手社員から最初に飛び出した言葉は、意外にも「自分が最初に配属された部署では、課長がフリーライダーでした」というものだった。

 少し驚いたが、「しかし、その課長はすぐに異動になりました。部下が上司を評価する『360度評価』というヤツで、私だけでなく多くの部下が辛口の評価をしたようです」という言葉が続いた。

 彼の話はその後も続いたのだが、私は彼の話から2つのことを改めて思い知らされた。

 1つは、どんなにフリーライダー対策を効果的に行なっている会社でも、必ずフリーライダーは出てくること。そしてもう1つは、優秀な会社はフリーライダーが出たら迅速に対策を講じているという事実だ。

 著書『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』でも述べているように、会社組織では、フリーライダーになってしまう要素は誰にでも必ず存在する。

 タダ乗り社員のマネジメントがうまく行っている会社は、そのことをわかっていて、常にタダ乗り社員が出てこないかチェックしている。そして、タダ乗り社員が出てきたら、すぐさま対策を講じることができる。

 逆に言うと、タダ乗り社員に悩む会社には、このような危機感と対処する際の迅速さがない。そしてほぼ間違いなく、組織内に「不機嫌な職場」を作り出してしまう。

 上記の企業のように、「効果的なフリーライダー対策」を行なうには、どうすべきか? その方策の胆については、著書『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』で述べているが、ここでは心理学をベースにした分析を中心に、方策を述べてみたい。