冷静に数字を見るリーダーが
熱いチームを率いる

同社はこのやり方で上場まで果たしたわけですが、完全に現場放任主義かというとそういうわけではありません。

利益に関してだけは、POSシステムを導入し、数字を「見える化」しています。利益が出ないような価格設定をしていれば、直ちに本部から指導が入ります。

現場に任せるリーダーの仕事は、ある意味、利益管理・数字管理でもあるのです。

自分たちの商品・サービスに対して熱い思いを持つメンバーがいる組織・チームほど、冷静に数字を見据えていられるリーダーの存在が不可欠です。人に対するウォームハートと数字に対するクールヘッドの組み合わせが、成功するリーダーの鍵でもあるのです。

「人材配置とハンコだけ」が
トップリーダーの理想形

ラベルライター「テプラ」やデジタルメモ「ポメラ」など、デジタル文具と呼ばれるユニークなヒット商品を次々と発表してきた株式会社キングジム(本社 東京都)の代表取締役社長・宮本彰さんは、「ファーストペンギンでありたい」と語っています。

ペンギンは群れで行動しますが、最初に海に飛び込む勇気があるペンギンのことを「ファーストペンギン」というのだそうです。つまり、「ファーストペンギンでありたい」とは、これまで世の中にないものを真っ先につくる会社であり続けたいというメッセージなのです。

これを実現するため、キングジムでは現場から上がってきた商品企画のほとんどが取締役会を通過する体制になっています。「役員のうち1人でも賛成すれば商品化していい」というルールであり、現場の意思決定に対しリーダーや経営者は極力介入しないことになっています。