若いメンバーは、
何に「飢えている」のか?
第2次世界大戦直後の若者たちが生きた日本には、モノやお金が足りていませんでした。モノやお金にハングリーとなった若者たちは、「物質的な豊かさ」のために、一生懸命働きました。そうした先輩方の努力のおかげで、日本はモノやお金には困らない豊かな国になれたのです。
一方、いまの社会に足りないものは「人と人のつながり」「助け合い」です。若者たちは、目に見えるモノやお金ではなく、人と人とのつながりといった「精神的な豊かさ」に対してハングリーになっているのです。
ですから、彼らからハングリー精神が失われたわけではなく、ハングリー精神が発揮される対象が変わったにすぎません。かつての若者たちが「物質的な豊かさ」を求めたのと同じくらいの渇望感を持って、「精神的な豊かさ」を求めているのです。
仕事の「成果」についても同じです。
「ノルマを達成すれば給料が上がる」と言われても、いまの若者たちは頑張れません。「なぜそのノルマを達成する必要があるのか?」「そのノルマ達成は、どんな他者への幸せにつながっているのか?」―それを納得しなければ、積極的に動けないのです。
これからのリーダーが語るべき「成果」とは、売上・利益や昇進・昇給ではなく、仕事の先にある「社会への貢献」です。つまり、仕事というものが、上司から与えられるものではなく、他者に貢献するためのものへ、「会社のためにやらされること」から「社会に対して関わること」へと変わってきたとも言えるでしょう。
こうした働き方を含めた価値観の大きな変化は、日本だけではなく、世界中で起こりつつあります。
(第29回へつづく・4月1日公開予定)