損益計算書(P/L……Profit and Loss Statement)

 1年間の業績をまとめて「いくら儲かったか」「いくら損をしたか」を知るための決算書のことです。

 いくら売上があって、いくら経費を使って、最終的にいくら利益(損失)が出たかを示しています。

 P/Lを見て「これだけ利益が出ている」と喜んでも、それは在庫や売掛金になっていることが多い。「現金が社内にどれだけあるか」は、P/Lを見てもわかりません。どんなに利益が出ていても、会社に現金がなかったら会社はつぶれてしまいます。

貸借対照表(B/S……Balance Sheet)

決算日現在の「会社の財産状況」をまとめた表のこと。
 資本金や利益剰余金(純資産)がいくらあって、いくらお金を借りていて(負債)、どのように運用されているか(資産)を示しています。

 右側の金額(純資産と負債を合わせた金額)と、左側の金額(資産)は同じ額となり、「バランスが取れている」ことから、「バランスシート」と呼ばれています。

 日常の損益の計算と、現実的なお金のやりくりを一緒に考えてはいけません。「現実的なお金のやりくり」は、すべてB/Sに記されています。

 社員と社長が力を合わせた結果(売上、利益など)を正しく計算するのは、P/L。お金がどういうふうに動いたか(どのように調達して、どのように使ったか)を示しているのは、B/Sです。

「P/Lは社員」が関わっていて、「B/Sは銀行」が関わっている

 B/Sをベースに「長期的にどのようにお金を調達し、どのように使うか」を見ていくと、事業構造を変えないと、現金が回らないことに気がつきます。

 文唱堂印刷株式会社(東京都)の橋本唱市社長は、「B/Sでしか業績は変わらない」ことに気がつき、事業構造を変えています。

「融資を短期から長期に変えたり、外注していた仕事を内製化するなどして現金の確保に注力した結果、m率(限界利益率:売上高に対する限界利益の割合。限界利益がプラスの商品は売上が増加するほど利益が増加する)が上がりました」(橋本社長)

 多くの社長が「勘定科目がわからない」「B/Sは難しい」という理由で、B/Sの数字を見ようとしません。

 しかし、B/Sの意味を理解して資金に強くなるのは、絶対にサボってはいけない社長の仕事です。

<著者プロフィール>
小山 昇
(Noboru Koyama)
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年山梨県生まれ。東京経済大学を卒業し、日本サービスマーチャンダイザー株式会社(現在の株式会社武蔵野)に入社。一時期、独立して株式会社ベリーを経営していたが、1987年に株式会社武蔵野に復帰。1989年より社長に就任して現在に至る。「大卒は2人だけ、それなりの人材しか集まらなかった落ちこぼれ集団」を毎年増収増益の優良企業に育てる。2001年から同社の経営のしくみを紹介する「経営サポート事業」を展開。現在、600社以上の会員企業を指導しているほか、「実践経営塾」「実践幹部塾」「経営計画書セミナー」など、全国各地で年間240回以上の講演・セミナーを開催。1999年「電子メッセージング協議会会長賞」、2001年度「経済産業大臣賞」、2004年度、経済産業省が推進する「IT経営百選最優秀賞」をそれぞれ受賞。日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞(2000年度、2010年度)。
2004年からスタートした、3日で108万円の現場研修(=1日36万円の「かばん持ち」)が年々話題となり、現在、70人・1年待ちの人気プログラムとなっている。
『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』『強い会社の教科書』(以上、ダイヤモンド社)、『99%の社長が知らない銀行とお金の話』『無担保で16億円借りる小山昇の“実践”銀行交渉術』(以上、あさ出版)、『【増補改訂版】仕事ができる人の心得』(CCCメディアハウス)などベスト&ロングセラー多数。
【ホームページ】
http://www.m-keiei.jp/