仕事の評価は他人が決める

菅野由佳(仮名)
社会人3年目。シンクタンク/コンサルティング会社勤務。
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菅野 いま、おっしゃっていた部分について、私は逆に感じていて。人間として、たとえば成長したいと思った時に、ある程度無理をする必要もあると思うんです。目指すところがある時、その途中で嫌なことがあったり、しんどいことがあってもやり続けなければいけないと考えています。そうしないと先に行かないんじゃないか、どこかに突き抜けないんじゃないかと思っていて。

 長い目で見れば、それも流れているっていう感じなのかもしれないんですけど。ちょっと無理をする、ちょっと圧力をかけていくっていうことが、必要なのかもしれないと思っています。

楠木 そうでしょうね。ただね、たぶんそれは同じことで。なんでそこで圧力をかけてでもやろうって思うかというと、やっぱりその先あることが、自分がその時点で好きなんですよね。だから、次に行きたいと思うんです。

 その好きなところに行くためのアプローチの手段としては、ちょっと無理をかけていくっていうのも、それが好きな人はそうだろうし。すごく好きなことをやっているんだからと言って、脱力していくほうが調子が出る人もいるかもしれないし。

 成長と言った時に、結局は誰かの役に立つ、誰かが必要とするというのが、仕事の成長を測る基準なんですよね。 仕事が楽なのは、結局は、全部客が評価を決めてくれるっていうことなんですよね。それは実は、すごく楽なことなんですよ。仕事で自分は成長したなっていうのも、自己評価ではなく、周りから頼りにされてるとか、クライアントに「やっぱり菅野さんじゃないと困るんですよ」って言われるとか、こういうことが成長なんですよね。

菅野 たしかに。

楠木 出口がすごくはっきりしているのは、仕事の厳しいんだけど、いいところですね。

菅野 なるほど。評価指標を自分で設定しなくても、勝手に返って来るようなものですもんね。

楠木 そうなんです。全然心配することないよ、世の中そんな甘くないからって(笑)。これは僕の中では、自然につながってるロジックなんですよね。「仕事でやっていけるかどうか心配なんです」という人がいますが、大丈夫、大丈夫、それはあなたが心配する問題じゃないから。仕事の評価は自分では下せないのは、いいところじゃないかと思っているんですけどね。