若者の声が届かない選挙制度も
ネット投票が改革のきっかけに?

出口 実質的に敬老原則を見直すうえでも、井堀先生がご著書で提案されていた、若い人の意向が反映されやすい選挙制度が重要です。若い人は投票率が低いですから、現行の選挙制度ですと、どうしても政治家が高齢者のほうを向いて政策を打ちます。1票の格差と投票率を加味するとシニアの意見が若者の6~8倍反映されるので、これでは若い人の声は政治に届きません。

井堀 だいたい投票率は年齢と対応しているといわれていて、20代が20%、30代が30%…となっています。自分たちの意向が政策に反映されないと思うと、若い人たちは余計に投票に行かなくなります。東京のように若い人が相対的に多い選挙区は1票が軽いのに対し、地方は相対的に重い。ですから、抜本的に選挙区の定数是正をすべきだと考えています。
 しかも、その定数是正を国会議員に任せきりにすると、最高裁判所の違憲判決を待ってやるので後手後手になります。ですから小手先でなく、選挙実施の有無にかかわらず毎年、選挙区をきちんと機械的に調整するような仕組みが必要だと思うんです。同時に、若い人の意向をより反映するために、住所だけでなく年齢も掛け合わせて区分けした世代別選挙区制を提案しました。これなら、若い人の投票率が低くても、有権者における若い人の割合に応じて若い人が希望する政治家が選ばれますから、若い人の国会での発言力は人口比に応じて反映される構成になります。

出口 イメージされているのは、フランス革命のときの三部会(聖職者と貴族、平民という3つに分けた身分制議会)のようなものですか。

井堀 そうですね、確かに。年代別三部会みたいなイメージです。ただし、若者の代表となる政治家が必ずしも若者である必要はなくて、若い人の代表、中年の代表、高齢者の代表が選ばれるイメージです。今は基本的に地域の代表しかいませんから、たとえば東京地区の若い人の代表、東京地区の高齢者の代表といったかたちで選ばれるわけです。

出口 素晴らしい仕組みだと思いますが、本当に選挙制度をそのように変更しようと思ったらだれが決めるのですか。今の選挙制度の区割りを変えるのでさえ難しい中で、現職の国会議員はなかなかそういう発想にならないように思うのですが……。

井堀 難しい問題です。97年に小選挙区に変えるときも、当時の自民党の有力な議員の選挙区に飛び地のような例外ができていたり、どうしても現職にバイアスがかかりますから。

出口 おそらく毎年機械的に選挙区を変えるなんて、今の現職の政治家から見ると、とんでもないことで、現実的には難しそうだなと(笑)。ただし、1人1票の定数是正については粘り強く取り組めばなんとかできそうです。エストニアなどですでに実績のあるネット投票などを導入すれば、ずいぶん選挙も変わりそうですね。

井堀 そう思います。本書では是認投票についても触れているのですが、要するに自分がいいと思う候補者は複数あげられる仕組みがあって、これも電子投票にすれば簡単にできます。今の固定的な選挙制度を、ネット投票を突破口にしていろいろ変えていけるかもしれません。

出口 定数是正を完全に均衡させて“1人1票”を実現し、ネット投票に移行することで、いろいろな可能性が広がっていく気がします。