「挑戦的質問」という方法
最近、ゲビアとチェスキーは「シェアリング・エコノミー(共有型経済)」をつくりだすことは現実的かという新しい課題を考え続けている。根底にあるのは、「なぜ私たちの社会では、本当には持つ必要のないものを買い続けなければならないのか?」という基本的な疑問だ(たとえば電動ドリル。製品ができてから寿命が尽きるまでに使われる総時間は、アメリカでは平均わずか13分だ)。
ゲビアが指摘するように、現代のような消費社会では、このような「雑多なもの」が何十年もかけて買い集められている。「もしこれからの100年間、こうしたものをシェアしたらどうなるだろう?」「もし『利用権』が『所有権』に勝ったらどうなるだろう?」
エアビーアンドビーが他の企業も巻き込んで「シェアリング・エコノミー」の実現という野心的な動きをうまく牽引できるかどうかはまだわからないが、同社は果敢にも「人は進んで家やベッドをシェアできるのか?」ということよりもさらに大きな課題に挑戦している。
それは、「私たちの経済はどう動いているのか?」「人はどの程度まで自分に埋め込まれた行動様式を進んで変えようとするのか?」、そして「シェアにはビジネスモデルとしての妥当性があるのか?」という問いだ。
ゲビアとチェスキーが実現した成功は、一般通念がどのようなものであろうとも、「前提条件に挑戦しよう」「あらゆるものが変化する運命にあると信じよう」という二人の意欲に根ざしていた。「なぜ?」タイプの質問の下位概念であるこの「大前提に挑戦する」という質問方式は、「挑戦的質問」と考えることができるかもしれない。挑戦的質問には、落ち着きがなく、反抗的で、習慣や権威を疑う、という特徴がある。
たとえば、次のような質問だ。
「なぜ、いま存在しているものを甘受する必要があるのか?」
「『それはできない』と言っているあなたをどうして信じなければならないのか?」