「和」の文化の本質とは?

ムーギー 京都で外国人観光客相手の和食料理教室であるクッキング・サン http://cookingsun.co.jp/ という料理教室があって、それがトリップアドバイザーで1位になるなど、とても人気らしいんです。私もおいしいものを食べることは大好きなので、私みたいな人でも簡単にできる和食の基本みたいなものがあればぜひ教えてほしいです。

日本語・和食・着物は、自分が一生付き合っていくものだから学びたい<br />国際派女子アナはこんなことを勉強している

松尾 簡単にですか。すごく難しい(笑)。誰でもできるとすれば、時間があるときに食材を切って冷凍しておくんです。それでお味噌汁だけでも手づくりするのはいいと思いますよ。お出汁も出汁の素が市販でいいものがありますし。

ムーギー 味噌汁を自分で作るのは、私が人生でやり残した大仕事の一つです。

松尾 お味噌汁は日本の料理文化の中でも素晴らしいと思います。発酵食品のお味噌とお野菜で栄養バランスもいいですし。お肉やお魚を入れても何でもお味噌が味を整えてくれるので。

ムーギー そういった日本文化を、みんなが興味を持てるように伝えるのもアナウンサーのお仕事だと思うのですが、和の魅力をひと言で説明するとしたらどうなりますか?

松尾和というのは「誰かに喜んでもらいたい文化」だと思うんですよ。

ムーギー 名言出ましたね。

松尾 和食に関しても器もそうですし、見た目もすごくかわいらしく盛り付ける。食べる人が目で見て楽しんで、そのあとお箸を運んで口にして、下ごしらえからこんなに手間暇かけられていることを感じる。相手を楽しませるというのが根底に流れてると思うんです。

 着物に関しても、たとえば「お太鼓結び」っていう帯の結び方があるんですね。掛けの部分を結び目の中に入れて、帯の後ろが太鼓のように膨らんで見えるんですが、それって絶対に自分のためじゃないんですよ。

ムーギー 私の「お太鼓腹」はよく自分で見えます。ただ、「お太鼓結び」は自分では見えないですよね。

松尾 そう。それは周りの人にこそ見て楽しんでもらうという要素が大きいと思うんです。他の帯の結び方もそう。後ろから見ても華やかなんです。気遣いの文化なのかもしれないですね。それがグローバルな視点でどうなのかはわからないですけど。逆にキムさん、日本人の気遣いをどう思われますか?

ムーギー いや、これは大絶賛ですよ。私もいろんな国の友人を日本に案内してますけど、細かな気遣いはみんなすごいと喜んでいます。ただ逆のことも言えて、全体が悪い方向にいってるときにも、みんなが気遣いをして歯止めが効かないようになるのは日本のリスクの一つといえるでしょう。空気を読みすぎて同調圧力が強すぎると思うこともありますが、日本の相手を思いやって喜ばせるホスピタリティの文化は世界に広めたいですよね。

 経済的な貢献は、相対規模的にどうしても縮小していくかもしれませんが、文化的な貢献はまだまだ、美しく豊かな文化を誇る日本の役割は、非常に大きいと思います。