主体的なリーダーを育てる方法とは?
「主体的にリーダーシップを発揮するエリートたちは、どんな家庭教育を受けて育ってきたのか?」
「単に一流大学に入るだけの受験エリートではなく、自分で考え、決められる大学生は、どのように育てられたのか」
素朴な疑問から実施された、200人もの「リーダーシップ溢れるエリート学生」に対する、「親に最も感謝している教育方針は何か」というアンケート調査をもとに、真の教育のあり方を論じたベストセラー、『一流の育て方』。その著者の一人であるムーギー・キムさんと、「灘→東大理IIIの三兄弟を育てたゴッドマザー」として知られる佐藤亮子さんの対談の後編です。佐藤さん自身の受けてきた教育、そして子どもたちに伝えている、主体的なリーダーとしての生き方とは?
子どもの「存在ぜんぶ」を肯定してあげる
大分県出身。津田塾大学卒業。大分県の私立高校で2年間英語教師として勤務。結婚後、奈良県に移住し長男、次男、三男、長女の順で4人を出産。長男、次男、三男が揃って難関私立の灘中学校・灘高等学校に入学。東京大学理科3類(医学部)に進学。3兄弟揃っての東大理3進学は珍しく、母の育児法・勉強法が注目される。現在は長女の大学受験をサポートしながら進学塾などで講演。テレビ、雑誌などメディアでも発言している。著書に、『「灘→東大理III」の3兄弟を育てた母の秀才の育て方』『「灘→東大理III」3兄弟の母が教える中学受験勉強法』(ともにKADOKAWA)、『受験は母親が9割 灘→東大理IIIに3兄弟が合格!』(朝日新聞出版)『「灘→東大理III」の3兄弟を育てた母が明かす志望校に合格するために知っておきたい130のこと』(ポプラ社)などがある。最新刊は『図解「灘→東大理III」の3兄弟を育てた母の秀才の育て方』(KADOKAWA)。
佐藤 母親の役割は、子どもの伴走者です。子どもがなにかに挑戦するとき、世界中の人間が反対してもお母さんだけは「大丈夫」と言ってそばにいてあげてほしい。周りの子どもと違う小さな挑戦をするときも、世の中のパイオニアになろうという大きな挑戦も、母親が「大丈夫」と言えば舟をこぎ出せると思うんです。
ムーギー 『一流の育て方』のなかにも、最終章の第7章で、親にいちばん感謝していることは「安全基地」でいてくれたことだというアンケート回答の紹介があります。世の中に出れば、嫌なことはある。挑戦すればするほど、摩擦は増える。そんなときにも自信を持って前に進めるのは、そのままの自分を受け入れてもらった経験があるからだと優秀な学生たちが答えているのです。無償の愛を実感した経験があるかどうかは、大きな差になるでしょう。佐藤さんご自身はいかがでしたか?
佐藤 私、両親にはほとんど怒られなかったんです。父も母もいつもニコニコしていて、よくかわいがってくれていたと思います。感謝していますね。
ムーギー 無償の愛と、信頼感があった?
佐藤 ええ。なにか私が間違えたりしても、「大丈夫、かわいいじゃない」って(笑)。いつも認めて、褒めてくれた。全部肯定してくれましたね。
ムーギー だめなところがあっても、自信を与えてくれる。確かに佐藤さんは、すさまじい自己肯定感を放ってらっしゃいますものね。(笑)
佐藤 少なくとも、私にとって家は居心地のいいところでした。毎日、家に帰るのが楽しみで。