サブプライム問題を総括するのは、明らかにまだ早いが、犯人探しを意識しながら、簡単に振り返ってみよう。

 問題の初期には、サブプライム・ローンを借りた人びとの計画性のなさを批判する議論を聞くことがあったが、住宅ローンに関しては、借り手よりも貸し手に問題があったと思う。米国の住宅ローンは、返済できなくなると担保である住宅を渡せば債務は残らない。

 ローンの返済額が少ないあいだ新しい家に住めて、住宅価格が上昇していれば借り換えすればいいし、そうでなければ家を渡せばいいというのは、なんとも好条件だ。

  ローンを貸す側の金融機関は、結局、サブプライム層の名前を借りて住宅に投資し、投資収益をローン金利のかたちで取ろうとして失敗したという構図になる。

 ローンの貸し手が、ローン残高をふくらませることができたのは、ローンを証券化した商品を転売してリスクを相当程度、他人に移転できたからだろう。

 それでは、証券化商品の組成者が悪いのか。彼らはローン債権をリスク分散しながら買い手のニーズに合わせて商品化しただけなので、罪の意識があるとは思えない。商品が過剰に複雑だったのは確かだが、意図的になにかをごまかしたようには見えない。

 もっとも、商品を在庫として抱える段階では、リスク管理に穴があったかもしれないし、場合によってはその「穴」が将来大きな問題を生むことを見通しつつも、当面の報酬と引き換えにリスクを取った可能性はある。彼らを有罪とは決めにくいが、有力な共犯者だった疑いはある。

 後に問題となった証券化商品の多くは、広く流通させるために、保証と格付けが付いていた。