ビジネスパーソンから聞こえる
「働くこと」への悲鳴

小沼大地(こぬま・だいち)
NPO法人クロスフィールズ共同創業者・代表理事。1982年生まれ、神奈川県出身。一橋大学社会学部を卒業後、青年海外協力隊として中東シリアで活動。帰国後に一橋大学大学院社会学研究科を修了、マッキンゼー・アンド・カンパニーにて勤務。2011年、ビジネスパーソンが新興国のNPOで社会課題解決にあたる「留職」を展開するクロスフィールズを創業。2011年に世界経済フォーラム(ダボス会議)のGlobal Shaperに選出。2014年、日経ソーシャルイニシアチブ大賞・新人賞を受賞。国際協力NGOセンター(JANIC)の常任理事、新公益連盟(社会課題の解決に取り組むNPOと企業のネットワーク)の理事も務める。
NPO法人クロスフィールズ http://crossfields.jp/

 今僕の耳には、多くのビジネスパーソンたちからの「働くこと」に対する悲鳴が聞こえているような気がする。

「自分が今必死にやっている仕事は、はたして誰の役に立っているんだろう?」
「私は、世の中に対してプラスの価値を生むことができているのか?」

 自分の仕事が自分以外の誰のためになっているのかが見えない。今の時代、こういう感覚は、誰しもが持っているものになっているのではないだろうか。
 組織や事業の規模が大きくなり、一人ひとりの行う業務が細分化していった結果、自分の仕事が誰にとって価値を生んでいるのかが、見えにくくなってしまったのだ。
 多くの人たちが「働く意義」を見失って悩んでいることの背景には、自分の目の前にある仕事と「社会とのつながり」が失われてしまったことがある。

 では、本来あるべき働き方とは、どんな状態なのだろう。
 僕は、「自分」と「仕事」と「社会」という3つが1本の線でつながっているような状態こそが、最も理想的な働き方だと考えている。

 「自分」と「仕事」とがつながっているとは、次のような状態を指す。

・自分がなぜ今の仕事をしているのかに対して、納得できる答えを持てている
・企業名や肩書きに関係なく、自分の仕事に揺るぎない誇りを感じられている
・会社での仕事を、自分自身の持つ情熱や志と重ねながら、胸を張って説明できる