意外と変動が見られる東京の難関・上位校
四模試(四谷大塚、日能研、首都圏模試センター、SAPIX)の9月模試での志願状況の変化を元に、今回は東京の男子受験生について偏差値順に眺めていきたい。偏差値については、四谷大塚の合不合結果80偏差値を基準に、偏差値65以上をAランク、以下5刻みでB~Fランク、30台をGランクとし、偏差値表記のない入試(学校)をHランクとする。学校名(入試名)の後に9月模試による偏差値を表示してある。なお、四模試の志願者数合計が30人を下回っている入試は省いてある。
東京の男子受験生が増加している様子は、四模試志願者数合計が前年比で1割以上増えている入試の数からもうかがえる。2月1日午前と1日午後がそれぞれ20ほど、2日の午前・午後と3日午前にも15ほどずつある。もちろん志願者を減らしている入試もあるが、それよりだいぶ多く増えている入試がある点に、22年入試の勢いを感じる。
偏差値60以上となるABランクは、神奈川同様、東京でも男女別学校が多い。2月1日のAランクは開成71、麻布68、駒場東邦66という3つの男子校と共学校の渋谷教育学園渋谷(渋渋)の1回66の4校である。渋渋1回は3割増で3倍台半ば、微増の麻布は2倍台半ばになりそうだ。21年入試で踏ん張った開成は微減で2倍台半ば、前年の反動か駒場東邦は1割半減らして2倍を割れそうである。
Bランクには偏差値64で並ぶ男子校の海城、武蔵、早稲田、早稲田大学高等学院(早高院)、そして共学校だが募集定員が男約70人に対して女約40人と男子の比率が高い早稲田実業(早実)63の5校がある。注目は武蔵で、1割強増えており3倍台半ばが予想される。早稲田大学の系列校では、1割弱増の早実は3倍台半ば、微増の早高院は3倍強だが、早稲田は1割減で2倍台半ばまで緩和しそうである。前年並みの海城は3倍の予想だ。
1日午後は、巣鴨(算数)63が1割弱減らして2倍半ば、世田谷学園(算数特選)61が微増で2倍弱となっている。難関国公立大を目指すコースの東京都市大学付属(II類)60と難関国公私立を目指すI類55を合わせた1日1回の志願者数は2割増で、予想倍率は2倍台半ばに上昇しそうだ。共学校では広尾学園(2回)(ISG1回)63がある。ISGはこれから語学力を身に付けるインターナショナルコーススタンダードグループの略称である。
2日午前には2回目の学校が並ぶ。これは千葉だが渋谷教育学園幕張(2回)69は微減で9倍、渋渋67は微増で2倍台半ば弱と見られる。本郷(2回)62は1割半増、攻玉社(2回)60は1割強増でいずれも2倍強となりそうだが、桐朋(2回)60は1割弱減で1倍台後半と緩和傾向にある。明治大学付属明治(明明)の1回60は微増で2倍台半ばに。2日午後は、微減で2倍台半ば弱の広尾学園(医進・サイエンス回)(IAG1回)64と2割増で3倍台後半の高輪(算数午後)60がある。IAGは帰国生などすでに英語力のあるインターナショナルコースアドバンストグループの略称である。
3日のAランクは、東京最難関男子校である筑波大学附属駒場73が1割減で4倍割れ、筑波大学附属66は微増で5倍弱、都立中高一貫最難関校の小石川中等教育学校(一般)67は1割半減で4倍に。いずれも微増の早稲田(2回)67は3倍台半ば、海城(2回)66は4倍になりそうだ。
Bランクでは、都立中高一貫校の武蔵高校附属62が1割減で3倍強,大泉高校附属60が1割弱増で5倍台半ば弱、桜修館60は2割強減らして4倍割れ、両国高校附属60は微増で6倍台半ば強と、予想倍率の増減が大きい。東京学芸大学附属世田谷60は2割強増で2倍強に回復、明明(2回)60は1割弱増で5倍を超えそうだ。
4日の芝(2回)63は微増で2倍台半ばに、5日の渋渋(3回)67は1割半増で6倍台半ば、前年並みの攻玉社(特選)63は2倍台半ば、微減の本郷(3回)63はそれでも9倍台半ば、広尾学園(ISG2回)62(3回)61は前年並みとなっている。